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決算発表する東芝の平田政善CFO(最高財務責任者)

 「来期以降は一過性の費用は発生せず、のれん減損も現時点では想定していない」。東芝の平田政善CFO(最高財務責任者)は強気の姿勢を崩さなかったが、その表情に笑顔はなかった。

 東芝は2月13日、2019年3月期の連結営業利益が前期比77%減の200億円になる見通しだと発表した。従来予想の600億円から400億円下方修正した。上場子会社のニューフレアテクノロジーの株価下落に伴う減損損失を計上するほか、送変電や配電などの国内大型案件で工期延長などに伴う追加費用を計上するのが響く。

 最終的なもうけを示す純利益は、前期比8%増の8700億円になる見通し。従来予想は9200億円で、500億円引き下げた。メモリー事業の売却益が純利益を大幅に引き上げる構図は変わらない。だが、持ち分法適用会社になったメモリー事業会社の業績悪化が純利益の下方修正要因となった。

 半導体メモリーは、世界的な市況悪化の影響を受けるのは避けられない。平田CFOも「メモリー事業はいい時と悪い時の差が激しい」と認める。

成長事業は見えないまま

 だが、注目すべきは本業のもうけを示す営業利益の下方修正だろう。上場子会社ののれん減損など一過性要因が大きいのは事実だが、成長に位置付ける事業が見当たらないままだ。

 19年3月期のセグメント別業績見通しで、エネルギーシステム事業やストレージ&デバイス事業の営業損益見通しを引き下げた。今後の成長領域に位置付けるインフラシステム事業の上積みもごくわずかだ。全セグメントでは事業の減収を反映し、営業損益を98億円引き下げている。

 東芝は、昨年11月に発表した24年3月期を最終とする5年間の中期経営計画「東芝Nextプラン」で、営業利益率を10%に高める計画を明らかにしている。当時の会見で車谷暢昭会長兼CEO(最高経営責任者)は、「安定した事業モデルで成長していく」と語ったが具体的な姿は見えていない。

 決算会見で平田CFOは、中計は計画通り進捗しているとの見方を示した。昨年4月に車谷CEOが就任して再スタートを切った東芝だが、初年度は厳しい着地となる。今期で構造改革をやり切って来期に再スタートを切れるのか。中国景気など世界経済の見通しが不透明さを増してくるなか、来期から始まる中計では早くも正念場を迎えることになる。