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 米ゼネラル・モーターズ(GM)は2月6日、2018年12月期通期の決算を発表した。売上高は前の期比1%増の1470億4900万ドル(約16兆1600億円)、純利益は約23倍の80億8400万ドルで増収増益だった。10~12月期も売上高が383億9900万ドルと前年同期比1.8%増え、純利益は20億4400万ドルと黒字転換した。

 一方、米フォード・モーターは苦戦しており、10~12月期に四半期で2年ぶりに最終赤字を計上した。トランプ政権に示す態度が対照的な両社の業績は明暗が分かれている。

 「GMと(GMのメアリー・)バーラCEO(最高経営責任者)に失望した」

 バーラCEOが昨年11月に北米5工場の閉鎖と大幅な人員削減を発表すると、トランプ米大統領はツイッターで批判し、「GMへの補助金の全額廃止を検討する可能性がある」とくぎを刺した。一方、フォードのジム・ハケットCEOは交流のあるトランプ大統領を気遣い、米国内のリストラを実行できていない。両社の決算の結果を見れば、トランプ大統領への配慮より自社の事情を優先させたバーラCEOの決断が正しかったことは明らかだ。

GMのバーラCEOはトランプ大統領に批判されながらもリストラを続けている(写真=AP/アフロ)

 そんなGMにも危うさが浮かぶ。17年には独オペルを仏グループPSAに売却して欧州事業から撤退。急成長を遂げるインドからも撤退し、不振の韓国では大規模なリストラを進める。その結果、GMは「北米市場頼みの一本足打法」がより色濃くなった。18年10~12月期の自動車部門の売上高のうち北米市場が占める割合は実に86%。米国は中国に次ぐ世界第2位の自動車市場ではあるものの、19年は新車販売台数がマイナスに転じるとの見立てもあり、先行きは明るくない。

 状況を打開する新しい事業の柱にバーラCEOが位置付けるのが、自動運転車によるシェアサービスの領域だ。その中核を担うのは、16年に自動運転技術のベンチャーを買収して立ち上げた「GMクルーズ」事業。2月6日の決算発表を受けて同日に開いたアナリスト向け会見でも、バーラCEOは「GMクルーズの社員数を1100人に拡大し、万全の体制で開発を進めている」と事業が順調であることをアピールした。

 実際、GMの自動運転技術は業界内でもトップクラスと目されている。米ナビガント・コンサルティングが18年1~3月期に世界の関連企業を対象に調査した技術力ランキングで、GMは米グーグル傘下のウェイモを抑えて1位だった。

 ところがこの状況を大きく変える出来事が、GMの決算発表の直前に起きた。仏ルノー・日産自動車・三菱自動車の連合が、自動運転でグーグル陣営に加わる方針を固めたのだ。

 自動運転の技術力アップに大量の走行データは欠かせない。グーグルは既に公道での走行データを積み上げており、この点で世界で先行していると言われる。だが一方で、自動車そのものをつくる力はほとんど持ち合わせていない。足りないピースが、3社連合のグーグル陣営への参加でそろうことになる。GMの強敵になることは間違いない。

 トランプ政権に米国市場の冷え込み、グーグルの脅威……。GMの前に次々と立ちはだかる「アメリカの壁」を乗り越えられるかどうかは、コストばかりがかさんでいるクルーズ事業で迅速に収益を得られるかにかかっている。