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 欧州連合(EU)の欧州委員会は6日、独シーメンスと仏アルストムの鉄道事業の統合計画がEU競争法(独占禁止法)違反であり、承認しないと発表した。競争法の厳格な運用に動いたのは女性の欧州委員。世界の大企業が恐れる政治家だ。

 鉄道事業でシーメンスは世界シェア2位で、アルストムは同3位。中国の大手同士が統合して設立した中国中車が世界最大手として台頭しており、対抗するために独仏で事業を統合し、グローバル競争を勝ち抜く構想を掲げていた。仏独を中心に欧州の航空機メーカーが結集した仏エアバスを引き合いに、鉄道版エアバス構想とも言われていた。

 だが、欧州委員会の態度は厳しかった。決定を主導したのは競争政策担当のベステアー委員だ。6日の会見では、「統合が実現すれば、鉄道関連製品の価格が上がる可能性があった」と発言し、統合に釘を刺した。

欧州委員会で競争政策を担当するベステアー委員(写真=ロイター/アフロ)

 決定前から両社と欧州委員会の間では応酬が続いていた。シーメンスは信号機事業の一部を売却する譲歩案を示した。同社のジョー・ケーザー社長は、1月末の決算会見で欧州委員会の決定に期待をのぞかせる発言をしていた。大企業の競争力を高め、雇用増につなげたい独仏政府も援護射撃に動いた。

 

 だが、ベステアー氏は「中国中車が欧州市場に参入する兆しはない」などと指摘。最終的にその判断はぶれなかった。シーメンスとアルストムの鉄道事業の統合計画は事実上、白紙に戻ったことになる。

 ベステアー委員は、デンマークで経済相・内相を務めた後、欧州委員会で競争政策担当の欧州委員に就いた。独禁法を厳格に適用する強硬派として世界中に名を轟かせている。