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 2018年10~12月期は世界の2大自動車市場である中国と米国が減速、自動車各社が苦戦を強いられる中、トヨタ自動車は2019年3月期通期の見通しを売上高で前期から微増の29兆5000億円、営業利益は横ばいの2兆4000億円で据え置いた。18年は中国の新車市場が28年ぶりに縮小に転じたが、トヨタの販売台数は14%増の約148万台。各社がインセンティブを積み増す米国市場でも横ばいを維持し、インセンティブも「10~12月期に昨年を下回る水準まで改善した」と6日の決算会見で白柳正義専務役員は説明した。

決算を説明する白柳正義専務役員

 2018年4~12月期の業績だけを見ても、売上高が前年同期から6785億円増の22兆4755億円、営業利益は同1677億円増の1兆9379億円だった。当期純利益こそ、米国の税制改正により投資先企業の株価下落分(3100億円)を計上して前年同期から5898億円縮小の1兆4233億円だったが、「あくまで評価損で将来的な競争力を左右するような減益とは考えていない」(同)という。

 一方、すでに18年4~12月期決算が出そろったトヨタと取引をする主要部品メーカー8社の決算と比べると、違いが浮き彫りになる。18年4~12月期の決算では全8社が最終減益。デンソー、アイシン精機、ジェイテクト、トヨタ紡織の4社は19年3月期通期見通しを下方修正した。

 背景にはトヨタの新車立ち上げを巡る格闘がある。

 「あらゆる部品メーカーの精鋭技術者たちが米ケンタッキーに集結している」

 こんな話が業界内で浮上し始めたのは昨年夏頃だ。ケンタッキーの工場でのSUV(多目的スポーツ車)「RAV4」の新型車立ち上げが難航し、多くの部品メーカーがラインを何度も作り直していた。「赤字を垂れ流してもトヨタさんのためにラインを完成させなくてはならない」。こう苦悩を話す部品メーカーの役員もいた。

米国でのRAV4の生産立ち上げに苦労した(写真:Drew Angerer/Getty Images)

 RAV4は米国市場でセダン離れが進んでから米国でのトヨタの販売を支えてきた人気車種の一つ。市場のニーズの変化に合わせて昨年、トヨタはセダンからRAV4や大型SUV「ハイランダー」などへの転換を急いだが、それを下支えしていたのも部品メーカーだった。

 18年4~12月期で部品メーカーが苦戦した要因の一つがこの「セダンからSUVへの急速な切り替え」にあったことは間違いない。中堅のフタバ産業は「新型車の立ち上げに費用がかさんだ」ことを通期見通しを大幅に下方修正した要因の一つに挙げている。

 一方で、今後のトヨタの販売拡大が部品メーカーの業績向上要因になる。18年4~12月期は短期的な痛みを部品メーカーが負う形となったが、長期的には相乗効果が生まれる。今決算はそんな「系列の強み」をトヨタは改めて見せつけたといえる。