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JR東日本が新宿駅新南改札に設置した新型の改札機。ICカードのタッチ部分が斜めになっている

 JR東日本は2月1日、JR新宿駅の新南改札で新型の改札機の実証実験を始めた。設置された新型改札機は1台で、大きさや色づかいは従来の改札機とほぼ同じ。違うのは、「Suica」などのICカードをタッチする部分が、内向きに50度傾いていることだ。

 タッチ部分が水平に配置されている従来の改札機では、子どもや車いす利用者など目線が低い利用者にとっては視認性が悪く、タッチがしづらいという課題があった。これを斜めにすることで、目線が低くてもどこにタッチすればいいかが確認しやすくなり、スムーズに改札を通過できるようになる。

 実証実験が始まった2月1日。利用者の様子を見てみると、最初はどこにタッチしていいのか分からずに戸惑う様子の人も見受けられたが、多くの人は従来の改札機と同様にICカードをスムーズにタッチして通過していった。 

 JR東はこの新型改札機を今後、3月14日に開業予定の高輪ゲートウェイ駅にも設置し、使いやすさなどを検証する方針だ。

現在は緑色のカバーで覆われているが、QRコードの読み取り部がある

 この改札機にはもう1つ新たな機能がある。QRコードの読み取りだ。現時点ではカバーに覆われているが、新型改札機では、現行の改札機のICカードのタッチ部分近くにQRコードの読み取り部が設けられ、ここに紙媒体に印字されたり、スマートフォンの画面に表示されたりしたQRコードをかざすことで入出場ができるようになる。

 実用化できれば、海外や地方から訪れるICカードを持っていない観光客が旅行前にQRコードをダウンロードすることで、駅で切符やICカードを購入しなくてもスムーズに鉄道を利用できるようになりそうだ。ただ、JR東は「現時点では、どのような乗車でQRコードが使えるようにするかは検討中」とし、5月11日から実施する新宿駅と高輪ゲートウェイ駅での一般モニターとJR東社員による実証実験を通じて方向性を見定めたい考えだ。

 QRコードの乗車券は沖縄都市モノレールなどですでに利用されているほか、阪神電気鉄道が3月から大阪梅田駅や神戸三宮駅などで実証実験を始める予定で、各地で広がりを見せている。背景には、ICカードを持っていない利用者の利便性の向上のほか、コストが高い磁気乗車券を廃止・削減したい鉄道事業者の思惑がある。

 「磁気乗車券の処理には複雑な機能を改札機や券売機に搭載する必要があり、設置や補修にも費用がかさむ。乗車券が改札機に詰まるトラブルも発生するので、廃止できれば利用客にも交通事業者にもメリットがある」(阪神電鉄広報)

 そのほか、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)は2019年12月から顔認証を利用した改札機の実証実験を始めた。1967年に阪急電鉄の北千里駅で世界で初めての自動改札機が導入されてから50年余り。改札で切符を切る駅員の数は少なくなってきた。相次ぐ新型改札機の導入により、今度は切符そのものがなくなる時代の幕開けとなるのかもしれない。

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