成田空港で2019年10月末から、夜間の飛行機の発着時間が1時間延長される。2月4日に周辺の9市町が、国や成田国際空港株式会社(NAA)が求めていた延長に合意。1978年の開港以来、初めての延長となるが、2つの課題が積み残されている。

政府が20年の訪日外国人旅行者数4000万人の目標を掲げる中で、検討が行われてきた成田空港の機能拡張。国やNAAはその一歩として、原則午前6時~午後11時としてきた発着時間を、2本ある滑走路のうちA滑走路で翌午前0時まで延長することを計画してきた。訪日客の増加が見込まれる東京五輪・パラリンピックに余裕を持って臨むため、19年10月末からの冬ダイヤでの延長に向けて、地元自治体の理解を求めていた。
騒音対策などを巡って反対意見もあった中で、全9市町の合意を取り付けた国交省とNAA。「苦渋の決断をしていただいた」と合意後の会見で感謝を述べたNAAの夏目誠社長だが、大きく2つの課題が積み残されたままだ。

1つ目は路線の誘致だ。夏目社長は会見で、LCCや貨物便のニーズがあると強調したものの、現段階で具体的な数字は見通せていないという。
2つ目の課題は利用者のアクセス手段の拡充だ。現状では成田空港から東京都心に向かう電車は11時過ぎには終了してしまい、バスもなくなる。午前0時に着陸しても、翌朝まで空港から出られないのであれば効果は半減する。
NAA広報によると、鉄道会社などとの交渉も「まだ協力をお願いしている段階」という。発着時間延長までは残り9カ月を切っており、時間的な余裕はない。夜間に発着させるメリットを各社に売り込み、理解につなげられるかが機能強化の成否のカギを握っている。
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