NTTドコモは2月1日、NTTコミュニケーションズ傘下で映像配信サービス「ひかりTV」を手がけるNTTぷららを子会社化すると発表した。ぷららが持つ映像制作技術やコンテンツ調達のノウハウを取り込み、ドコモの巨大な顧客基盤との相乗効果を狙う。これにより「現在は1000億円弱」(NTTドコモの吉澤和弘社長)というドコモの映像関連ビジネスの売上規模を「2025年度に3000億円規模まで伸ばす」(同)考え。競争が激しくなる映像関連で存在感を示せるか。

ぷららに対する現在の出資比率はNTTコミュニケーションズ(NTTコム)が62.1%、ドコモが33.3%、ソニーが0.6%。これを19年7月1日にNTTコムが持つぷらら株をすべてドコモに譲渡してドコモが筆頭株主となる。
実はNTTはこれまでも、グループ内に散らばる個人向け事業をドコモに集約する戦略を着々と進めてきた。スマートフォン市場の飽和や政府の度重なる値下げ要請で、主力の携帯電話事業の先行きが不透明になっているドコモの新たな収益源を育てるためだ。
その戦略に沿って、ドコモは17年5月までに順次、ぷららやポータル(玄関)サイト「goo」を運営するNTTレゾナントへの出資比率をそれぞれ3割程度に高めてきた。ぷららやレゾナントの社員をドコモに出向させる交流人事も数年前から加速。さらに、ドコモの映像サービス「dTV」の配信システムなども現在はぷららが裏方となって運用している。ドコモのぷらら子会社化は一連の仕掛けの延長線上にある。
強化を図る映像配信事業でドコモは苦い経験がある。子会社を通じて12年4月に始めたスマートフォン向け放送サービス「NOTTV」。人気タレントを使った独自番組などを売りに華々しくスタートさせ、13年9月に150万契約を超えるなど当初は好調だった。だが、放送用の周波数を利用したサービスで、専用チューナーを載せた端末が必要だった。そのため、後に普及したネット動画配信に押され伸び悩み、結局、16年6月末に撤退した。今回のぷららの子会社化によって、市場が拡大する映像配信事業を伸ばすためにグループのリソースを結集する。
より高い視点から見ると、NTTグループで重複する事業の整理統合という意味合いもある。NTTの持ち株会社は、NTTコムや南アフリカのディメンション・データなどがそれぞれ持つ法人向けIT事業を19年7月に再編し、グローバル事業会社と国内事業会社に組み替える予定。これに伴い、NTTコムの個人向けネット接続事業「OCN」や、コム傘下のぷららをグループ内でどのように再編するかが検討課題になっていた。
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