朝の通勤ラッシュ緩和に向けて、企業などに出勤時間帯の分散を促すキャンペーン「時差Biz(ビズ)」が2月1日、最終日を迎えた。東京都が音頭をとって2017年から始まったこのキャンペーン、冬の実施は初めてとなる。これまでの取り組みで「利用者の平準化など一定の効果は出ている」と都は説明するが、浸透度はどうなのか。

東京の満員電車解消を目指す「時差Biz」(写真:共同通信)
東京の満員電車解消を目指す「時差Biz」(写真:共同通信)

 時差ビズは満員電車の解消を公約に掲げた小池百合子氏が都知事となってスタートした。鉄道会社が臨時車両を運行したり、ピーク時間帯を避けた通勤客らに駅の売店で使えるポイントを付与したりして、時差出勤を促す試みだ。期間中に時差出勤やフレックスタイム制などを行う参加企業も年々増加し、17年の300社あまりから今回、1000社を超えるまでになった。鉄道会社による参加者への「特典」も多様化し、ラッシュ時間帯のみ使える提携コーヒー店のクーポンや、駅内のそば店の商品引換券などもある。

 ただ、狙いとする混雑解消は遠いようだ。都によると、18年夏に実施した時差ビズでは、東京駅や新宿駅など主要駅での定期券利用者の出場はピーク時間帯の午前8時台から別時間帯への分散がみられたが、アンケート調査からは、ピーク時間帯の混雑状況について「普段と変わらない」との声が依然として多い。ある鉄道事業者は「年中、混雑対策を行っているためでもあるが、期間中にピーク時を避ける利用者が増えたという実感はない。高い混雑率も相変わらずだ」と話す。

 実感が持てない理由は、一極集中によって都心部に向かう鉄道利用者が圧倒的に多いことだ。都によると、1都3県から通学や通勤で東京23区に流入する人口は毎日約500万人。対して、都の最終集計がある18年夏のキャンペーンに参加した企業は約820社で、従業員数の合計は約18万人と、単純計算で全体の3.6%にとどまる。その従業員全員が時差出勤などでラッシュ時を避けるとは限らないことを考えると、実態はさらに少ないことになる。今回、参加企業は増加しているが、より多くの企業の協力が欠かせない。

 「働き方の多様化など、ムーブメントを都から生み出したい」と力を込める都担当者だが、一部の鉄道会社からは「回を追うごとに都の掛け声が小さくなってきた気がする」との声も聞こえ始めてきた。

 高度成長期以来、都心で働く人を悩ませてきた通勤ラッシュ。効果が実感されるにはまだ時間がかかりそうだ。

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