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 1月30日、総務省がふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外したのは違法だとして、同市が決定の取り消しを求めた訴訟の判決が出た。大阪高裁は泉佐野市の請求を棄却、国側が勝訴した。

 裁判では、過去に同市がネット通販サイト「アマゾン」のギフト券を配って寄付を集めるなどしたことを理由に、新制度への参加を認めなかった総務省の対応の是非が主な争点だった。大阪高裁の佐村浩之裁判長は国の対応は適法と判断。泉佐野市の手法を厳しく批判し、「過度な返礼品での寄付集めは法的枠組みを甚だしく逸脱する」と非難した。

 2008年にスタートしたふるさと納税は、総枠が決まっている中で自治体が税収を奪い合うゼロサムゲームといえる。その性格上、カニや高級和牛にはじまり、果ては商品券に家電やパソコンまでと、返礼品競争はエスカレートの一途をたどった。

 「官製カタログショッピング」とも揶揄(やゆ)されるような事態に危機感を強めた総務省は、通知を発出して自治体に自粛を要請。ただし法的拘束力がないため、泉佐野市をはじめ一部の自治体は大盤振る舞いを続けていた。

 総務省の自粛通知に沿って返礼品を見直した自治体の間で、税収が一方的に流出することに対する不満が高まっていることを受けて、総務省はある決断をする。19年6月から返礼品に対する法規制を導入するに当たり、過去のやり方を理由に、泉佐野市を含む4市町を制度の対象外としたのだ。

 この是非が今回の訴訟で争われた。総務省としては、いわば自粛通知に応じた自治体の代理戦争となった訴訟に負けるわけにはいかない。勝訴の一報が入ると同省の自治税務局内では歓声が上がったという。高市早苗総務相は「総務省の主張が認められたと考えている。制度の健全な発展にしっかり取り組んでいきたい」と話した。

 一方の泉佐野市の千代松大耕市長は「主張が全く認められず、到底受け入れがたい」と厳しい表情。「国に従わなかったことで不利益な扱いをするのは、地方自治法に反している」と訴え、最高裁でも全面的に争う姿勢を鮮明にした。

判決後の記者会見で、大阪府泉佐野市の千代松大耕市長(右)の表情は厳しかった

 では、今回の判決が示したものはなんなのだろうか。ふるさと納税制度に詳しい神戸大学大学院の保田隆明准教授は「今回の判決ではっきりしたのは、総務相がノーだと判断すれば、除外できるということだ」と話す。

 実は、返礼品の規制を盛り込んだ改正地方税法に関する告示では、「返礼品を寄付額の3割以下の地場産品に限る」といった旨の記載はあるが、過去の通知にあったような、「資産性の高いもの」や「価格が高額なもの」を送らないようにという記載はない。総務省は過去の通知が今でも有効だという見解だが、法規制がないため、今も家電や宝飾品を返礼品としている自治体がある。

自治体の中には今も家電や宝飾品を返礼品としているところも

 しかし、今回の判決が総務省の考えを全面的に支持し、大きな裁量を認めたことで、自治体にとって制度の抜け穴を探るリスクが格段に高まった。最高裁で逆転することがない限り、寄付によって豪華な返礼品が手に入った「ふるさと納税の黄金時代」が戻ることはないだろう。

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