LINEがスマホ決済の普及を急いでいる。1月25~31日には、利用額の20%をポイント還元する2度目のキャンペーンを実施。31日にはLINE Pay(ラインペイ)を運営する子会社に200億円の出資を決め、更なる投資を続ける姿勢を見せる。相次ぐ対策からは、現金決済からの乗り換えという高いハードルがLINEを待ち受けている実情が透ける。

 1月31日に発表した2018年12月期通期決算にも決済事業の育成を急ぎたいLINEの意向がにじんでいた。売上高は2071億8200万円(前年同期比24%増)だが、営業利益は161億1000万円と前年同期に比べて35.8%減った。決済事業へ大規模な投資を続けているためだ。既存事業ではコミュニケーション・コンテンツ部門が稼ぎ頭のゲーム事業の縮小により減収。広告事業の伸びが売上高を支えている。

ゲームに代わる収益の柱として期待は大きい(ラインペイカードの申し込み画面)

 LINEが次の収益の柱として期待しているLINE Payでは、12月に20%還元の大型キャンペーンを実施するなどの投資を続け、グローバル合計の年間決済総額は1兆円を超えた。出澤剛社長は「非常に手ごたえを感じている」と話すが、満足しているわけではないようだ。

 日本の民間最終消費支出は約300兆円(2018年、経済産業省)あるが、クレジットカードや非接触決済など電子決済の比率は約2割。240兆円もの現金決済市場があり、LINE Payを始めとした各社の決済サービスはこの市場を狙っている。

 LINE Payの決済額は日本の現金決済の1%にも満たない。それどころか、クレジットカードが1年間で4兆3000億円も決済額を伸ばしている(2017年、日本クレジット協会調べ)ことを考えると、本来はまだ伸びしろがあるといっていい。

 年間決済総額はなんとか1兆円を超えたが、順調な成長だったわけでもない。四半期ごとの決済高をみると、第2四半期と第3四半期はそれぞれ2590億円、2610億円とほぼ横ばい。20%還元の大型キャンペーンを実施した第4四半期に駆け込みで3750億円の決済があって、ようやく年間1兆687億円となった。店舗側の手数料をQRコード決済では0円とするなど期間限定の促進策を実施しており、売上高への貢献も今は大きくない。

 高還元率のポイントを付与することで、既にクレジットカードや交通系ICなど、電子決済に慣れ親しんだ人を呼び込む効果は期待できそうだ。しかし、お得な期間が終われば使わなくなるかもしれない。一方、現金決済の利用者に使ってもらえれば、還元率が減っても現金に比べポイント還元があると訴求できる。利便性もアピールすることで利用者の定着が期待できる。

 LINEは3年以内に決済事業を収益の柱にしたいとしているが、現金からの移行をどう進めるかという青写真は描き切れていない。巨大市場を狙う投資はしばらく続きそうだ。

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