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19年に武漢市で稼働を始めた東風本田の第三工場。東風本田が建設した3カ所目の完成車工場で、ホンダが合弁で中国に建設した6カ所目の完成車工場となる(写真:新華社/共同通信イメージズ)

 中国を中心に感染者の拡大が止まらない新型肺炎。トヨタ自動車やホンダが中国国内での完成車工場の稼働を2月10日以降に延期する見通しとなるなど、現地での生産や販売への影響は不透明だ。

 特に最初の感染者が出たとされる武漢市のある湖北省に完成車工場を持つホンダと日産自動車は世界販売における中国の割合が約3割と、ほかの日系メーカーに比べて中国への依存度が高い。生産再開の遅れに加え、新型肺炎により中国の内需が冷え込めば、経営へのインパクトは重くなりそうだ。

 「規模こそ米国に劣るが、今は中国(に勢いがある)」と自信満々にホンダの幹部が話してくれたのは新型肺炎の影も見えない昨年秋のことだった。その言葉を裏付けるように、2019年の中国での新車販売実績は市場全体が前の年に比べ8.2%減となるなか、ホンダは155万4000台超と8.5%増。「シビック」や「CR-V」といった世界戦略車が売れた。

 ホンダは19年度に497万台の世界販売を見込んでおり、中国の比率は3割を超える計算だ。19年4月には武漢市の東風本田汽車に年産能力12万台の第三工場が完成したばかり。英国をはじめ世界的な生産能力縮小に動くなかでも「中国は特別」という様子がうかがえる。

 中国依存度の高さは日産も同様だ。19年度の世界販売台数見通し524万台に対し、中国は156万台を見込んでいた。19年の中国販売は154万6000台超で世界販売の約3割。調査会社マークラインズによると、日産のセダン「ブルーバード シルフィ」の19年の販売台数は34万6000台超で中国の再量販車種だった。

 かつて稼ぎ頭としていた北米市場が頭打ちとなるなか、減速気味とはいえ世界一の自動車市場である中国への依存度が高まるのは仕方がないとも言える。両社とも四輪事業の利益率低迷に苦しんでおり、主力のセダンだけでなく利幅の大きいSUV(多目的スポーツ車)が売れる中国市場の重要性が高まっていた。世界販売が1000万台規模のトヨタに比べれば販売規模はおよそ半分のホンダと日産。民族系、外資系が入り乱れる中国でいち早くブランドを築いてきた。

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一氏は湖北省で自動車の生産が1カ月停止した場合、ホンダで純利益230億円、同省の襄陽市に工場を持つ日産は同60億円引き下げられると試算している。

 とはいえ、「ディーラー在庫もかなりあり、中期的な収益や競争力への影響はほとんどない」(野村証券)との見方もある。「現時点で武漢の生産再開は見通せない」(ホンダ広報)。在庫のあるうちに生産再開ができるか。そして、新型肺炎の流行が先行きの消費まで冷え込ませないか。これから始まる自動車大手の19年10~12月期決算の発表の場では、中国事業の先行きに関連する質問が相次ぐだろう。

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