シャープが1月30日に発表した、2018年4~12月期の連結決算は売上高が前年同期比3%減の1兆7715億円、経常利益が同13%減の620億円だった。特別利益や法人税などの減少で、最終増益は確保したものの、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下での成長の減速感が鮮明になってきた。

「米中貿易摩擦もあり、特定顧客の在庫調整の影響を受けた」。記者会見に登壇したシャープの野村勝明副社長はこう総括した。四半期ベースでの減収は、18年7~9月期に続き2四半期連続となる。
減収減益の原因は「中国」だ。中国市場での販売不振で、18年10~12月期の減収減益を発表したばかりの大口顧客、米アップル向けの部品販売が苦戦。鴻海傘下後、好業績のけん引役だった中国の液晶テレビ販売も減少した。

もっとも、シャープは現在、中国での販売戦略を転換している真っ最中だ。鴻海傘下後、グループの販売会社は安値攻勢でシェアを拡大してきたが、その一方で「シャープ」ブランドが毀損する結果となった。シャープは上期から数量を追うのではなく、高付加価値品を売る「量から質」へのシフトを急いでいる。
野村副社長は「中国では流通在庫の適正化を進めつつ、(高精細な)8Kや(AIとIoTを融合した)AIoTを活用した高付加価値化を進めている。消費者からは好評だと聞いている。一部は19年1~3月期に、来期には効果が出てくる」と自信をのぞかせた。
2019年3月期通期の業績予想は、純利益以外の数値を下方修正したシャープ。中国で「量から質へ」の戦略は奏功するのか。戦略転換の真価が問われる春節(旧正月)商戦が幕を開ける。
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