経済に減速感が出ている中国で、政府が消費のテコ入れに乗り出す。29日には新車の購入補助金などを柱とする消費刺激策を発表した。2018年に28年ぶりに前年実績を割り込んだ新車市場を活性化する狙い。刺激策は日本車の需要も喚起するだろうか。

中国の新車市場は昨年、28年ぶりに前年割れ(写真:AP/アフロ)
中国の新車市場は昨年、28年ぶりに前年割れ(写真:AP/アフロ)

 政府が新車購入を後押しする背景には、経済全体への波及効果が大きいことがある。中国の小売売上高の18年の前年比伸び率は9.0%と、17年の10.2%から1.2ポイント落ち込んだが、中国紙「経済参考報」によると、自動車関連だけで0.8ポイントを押し下げたという。言い換えれば、自動車の消費を促せば、景気の下支え効果も大きくなるわけだ。

 29日に発表された刺激策では、旧型の排ガス規制対応車や農村での小型車への買い替えに補助金を支給するとしたほか、EV(電気自動車)など新エネルギー車への購入補助金を上積みする方針も示した。

 中国で事業展開する日系企業にとって、この刺激策は販売拡大の好機となるのか。中国の自動車産業に詳しいみずほ銀行の湯進・主任研究員は「ポイントは農村市場と小型EVにある」と指摘する。

 中国政府は一貫して農村の近代化を目指しており、リーマン・ショック後の景気対策では、農村での家電の買い替えを促した経緯がある。今回も同様の措置を取りながら、新車の購入も促し、生活レベルの向上を後押しすることになりそうだ。

 一方で、EV普及にも注力しているのが今の中国政府。小型ガソリン車と同程度の価格で小型EVを購入できるような補助金支給策が導入されれば、農村でのEV普及に弾みがつく。

 こうなると、日系メーカーの商機は乏しい。農村部で小型EVを売るには「100万円程度に価格を抑える必要がある」(湯氏)からだ。この価格帯で小型EVを商品化できるのは、コスト競争力に優れる現地メーカーくらい。中国の消費刺激策で笑うのは、結局は中国の現地メーカーかもしれない。

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