米アップルが日本時間の朝方に発表した2018年10~12月期決算は驚くような内容ではなかった。売上高は前年同期比5%減の843億1000万ドル(約9兆2200億円)と1月2日に下方修正した予想通り。19年1~3月期は同3~10%の減収を見込むが、これも市場予想の範囲内で、悪材料が出尽くしたとの見方からアップルの株価は上昇した。

iPhoneの販売低迷に歯止めがかかれば、半導体やディスプレー、電子部品など、アップルに部材を納めるサプライヤーにとっては朗報となる。だが、手放しでは喜べない。
アップルは28日、米国内での部品調達実績をひっそりと公開した。18年に米国の9000社のサプライヤーから600億ドル分の部材を調達したという内容だ。調達額は前年よりも10%増え、45万人以上の雇用を生み出したとアピールしている。
アップルはこれまで中国や台湾などアジアでサプライチェーンを築き、現地でiPhoneを組み立てることでコストメリットを引き出してきた。11年にもオバマ前米大統領が当時のスティーブ・ジョブズCEOに「iPhoneを米国内で生産することはできないのか」と訴えたが、ジョブズCEOは「できない」と断言したとされる。
そうした経緯から考えると、オバマ氏より強烈に国内回帰を求めるトランプ政権にアップルも応えざるを得なくなったのかもしれない。
アップルのプレスリリースには調達先の代表的な米企業として、ガラス大手のコーニングや、半導体のブロードコムなどを挙げているが、今後も米国での調達先を増やすことは考えられる。アップルに部材を納める日本メーカーも、アップルの「国内回帰」の動きに無関心ではいられなくなりそうだ。
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