(写真:AFP/アフロ)

 「高収益企業への回帰を目指していく」。1月28日に2020年12月期決算(米国会計基準)を発表したキヤノンの田中稔三副社長CFO(最高財務責任者)はこう力を込めた。

 キヤノンの20年12月期は、新型コロナウイルスの感染拡大に振り回された1年だった。オフィスを利用する人が減れば複合機の利用頻度が減ってトナーなどの消耗品が売れなくなる。イベントやレジャーが減れば写真を撮る機会も減る。さらに海外への渡航が難しくなればディスプレー露光装置や有機EL蒸着装置などの設置作業が止まってしまう。増収増益を見込んでいた通期予想を4月に取り下げ、オフィスに出社する人が激減した4~6月期は四半期業績の開示を始めてから初の最終赤字となった。

 期初の見通しを下回る業績予想を公表した7月には、150億円規模の追加の構造改革を進めて収益体質を強化する方針を示した。「これ以上の下方修正は許されない」という危機感での経営が実り、20年12月期は売上高が3兆1602億円(7月予想比2.6%増、前期比12.1%減)、純利益が833億円(7月予想比93.7%増、前期比33.3%減)となった。キヤノンが経営指標として重視するフリーキャッシュフロー(純現金収支)は前期から500億円近く増えて1784億円となった。

「まったく悲観していない」

 御手洗冨士夫会長兼社長CEO(最高経営責任者)は20年秋の日経ビジネスの取材で、今後の見通しについて「まったく悲観も心配もしていない」と述べていた。こう話した御手洗氏には、復調の兆しが見えていたのかもしれない。

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