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1月29日、楽天の三木谷浩史会長兼社長は送料無料化導入を改めて明言した

 「店舗の成長につながるのであれば、たとえ政府や公取と対峙しても必ず遂行する」

 楽天の三木谷浩史会長兼社長は1月29日、都内で開いた「楽天新春カンファレンス2020」で、3月18日からの一律送料無料化策を予定通り導入することを改めて明言した。同社はかつて定額制だった出店料を、定額+従量制に変えたことで、出店者や消費者から「値上げだ」と批判を浴びたことがある。三木谷会長はそんな出店料の見直し策を例に挙げつつ、一律送料無料化も「何が何でも成功させたい」と強調してみせた。

 この日、会場に集まった出店者はおよそ4000人で、約5万店が出店する楽天市場の1割弱に相当する。46分のプレゼンでは、競合する「アマゾン」の名を何度も口にした。その中で「負けている理由は送料の分かりにくさ」とし、税込み3980円以上を購入した場合に原則として一律送料を無料化するサービスの正当性を訴えた。

 「これ(送料一律無料化)をしないと成長できない」「(今が)分水嶺」とも発言し、出店者の危機感をあおった。

 足元では、出店者の任意団体である「楽天ユニオン」が、楽天の規約改定などが優越的な地位の乱用を禁じた独禁法違反に当たるとして公正取引委員会に楽天を調査するよう求める署名を提出し、公取委は出店者らに事情聴取を始めたもよう。

 参加した出店者からは賛否両論の声が上がった。

 静岡県から来た男性は「楽天市場そのものにお客さんが来てくれないと意味がない。誘導する策として有効ではないか」と理解を示した。一方、埼玉県から来た女性は「扱う品目が異なる店が多い中で、一律で線引きするのはどうか。店舗によって送料が異なり分かりづらいというのであれば、価格表示を送料込みの総額表示に統一すれば問題ないのでは」と難色を示した。

 三木谷会長は送料の一律無料化によって新規顧客が増えたり、リピーターが増えたりすることで流通総額が「十数%は上がると確信している」と語ったが、反発する一部の出店者からは「客単価が下がり、個別発送が増えて利益が減る」との不満が漏れる。

 楽天は実証実験で売り上げが増えた点をアピールするが、利益の増加につながるかについては「利益構造や販売戦略は店舗によってマチマチなので一概には言えない」と歯切れが悪い。

 1月27日には、ワークマンが2月末で楽天市場から撤退する方針を示した。カジュアル衣料としての人気も高まり、快進撃を続けるワークマンは3月に自社で新たなネット販売サイトをオープン。店舗在庫をネットで注文して店舗で受け取るモデルで、「大半のお客様は当社の新ネット販売サイトに移っていただける」(ワークマン)と見込む。

 場所貸しとして多くの客を囲い込んで中小の販売店を支えてきた楽天。だが、自社でユーザーを囲んだ企業や店舗の中には、楽天からの「卒業」を決断するところもあるだろう。三木谷会長の強気の発言の裏には、こうした離反に対する焦りもあるのかもしれない。

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