画像処理半導体(GPU)大手の米エヌビディアは28日、2018年11月~19年1月期の売上高が従来予想より約19%落ち込むと発表した。中国経済の減速に伴い、ゲーム用半導体の販売が低調だったことが理由という。もっとも、反転に向けて期待を寄せる市場も中国。何せあの国には、6億人を超えるゲーマーがいる。

 「特に中国で急激な経済減速があり、ゲーム用GPUの需要に影響を与えた」。エヌビディアのジェンスン・ファンCEO(最高経営責任者)は投資家に宛てた書簡で、業績見通しの下方修正の要因は中国市場の変化だと強調した。

 映像を滑らかに表示するためのGPUで急成長を遂げたエヌビディア。ゲーム向けに加え、AI(人工知能)の一種であるディープラーニング(深層学習)、仮想通貨のマイニング(採掘)などにもその使い道を広げ、業績を拡大してきた。ところが、AI向けは自動運転の実用化が思うようなペースで進まず、マイニング用も仮想通貨バブルの崩壊で、在庫が積み上がる。そこに中国経済の減速が加わり、売上高の6割弱を占めるゲーム向けGPUの売り上げを思うように伸ばせなかった。これがファンCEOの見立てだ。

中国のゲーム人口は6億人を超える(写真:Imaginechina/アフロ)
中国のゲーム人口は6億人を超える(写真:Imaginechina/アフロ)

 確かに中国のゲーム市場は減速している。中国の業界団体がまとめた18年のゲーム市場規模は2144億4000万元(約3兆5000億円)。これまで2ケタ成長が続いてきたが、18年の伸び率は5.3%にとどまった。米中貿易戦争を背景とした景況感の悪化に伴い、エヌビディアの高性能GPUを搭載したパソコンなどへの購入意欲が薄れている可能性はある。

 では、エヌビディアの苦境はこのまま深まるばかりなのだろうか。ファンCEOは冒頭の書簡で触れなかったが、中国のゲーム市場の変化にはもう1つのワケがある。

 中国当局による規制強化の動きだ。当局はゲーム内容の審査を強め、新作ゲームの発売を昨年3月以降、認めてこなかった。新作が出回らなければ当然、ゲーム市場の活力はそがれる。

 しかしながら、中国当局は昨年末から審査を再開。1月24日にネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)などのゲームに認可を出した。中国のゲーマーにとって待望の新作が市場に出回ることで、ひいてはエヌビディアのGPU需要も回復する可能性が出てきたというわけだ。

 エヌビディアにとって、中国は売上高の2割弱を占める主力市場だ。その市場にエヌビディアの業績は揺さぶられ、6億人の中国人ゲーマーに再び救われるかもしれない。激しい覇権争いの裏側で、経済面では切っても切れない相互依存関係がある。両国の現実がここでも透ける。

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