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 ソフトバンクが、世界的に広がる中国製品排除の動きに頭を悩ませている。特に、華為技術(ファーウェイ)とはこれまでに親密な関係を築いてきた経緯があるからだ。事態の変化を見極めながら、少しずつ排除の方向へかじを切る「牛歩戦術」をとるが、伸び悩む株価の重しになり続けるというジレンマも抱える。 

ファーウェイはソフトバンクの法人顧客向けイベントにも出展、親密な関係を築いてきた(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 米中の対立は激しさを増す。米司法省は28日、イランとの違法な金融取引に関わった罪などでファーウェイと同社の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を起訴したと発表。孟氏を逮捕したカナダに身柄の引き渡しを求める。米中両政府は30日から閣僚級の貿易協議を開く。米側はファーウェイと貿易交渉は別の問題と繰り返すが、「中国に譲歩を迫るためのカード」との観測が消えない。

 対立のあおりを受け、「安全保障上の理由」から、通信機器の調達に中国製品を忌避する動きが世界中で広がる。対応に頭を悩ませているのは、日本の携帯事業者も同じだ。

 ソフトバンクは国内携帯大手3社のうち、特に中国製品を基地局などに積極的に使ってきた。調査会社によれば17年度だけで、ファーウェイと中興通訊(ZTE)の2社から約170億円分の基地局を購入した。複数の基地局を制御するための機器はファーウェイ製、通信ネットワークからインターネットへデータを中継するための通信機器の一部もファーウェイ製……。「完全排除」となると、基地局の新規購入をやめれば良いという話では済まず、作業費なども含め多額のコストが発生するのが明らかだ。

「お付き合いしていきたい気持ちは……」

 包囲網の強まりを受けて、ソフトバンクの宮川潤一副社長はこう話す。「(ファーウェイと)お付き合いしていきたい気持ちは山々だが、最終的には政府の方針に従う」。だが、その歩みは決してスピーディーとは呼べない。ある業界関係者が「やるとすれば次回の設備更新時だろう」と達観するように、ソフトバンクは中国製品排除の工程表を明らかにしていない。つまりは、いつ、どの程度、どれくらいのお金をかけて、という基本要素が軒並み欠落したままだ。現段階では「お付き合いしていきたい気持ち」をなお引きずっている印象が否めない。

 こうした牛歩戦術は投資家にどう映るだろうか。ソフトバンクの株価は昨年12月の上場以降、いまだに公募価格に届かない。「成長への疑いの払しょく」とともに「ネガティブに受け取られる材料の払しょく」にも、本気度が試されている。