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定額サービスはまずホンダの認定中古車拠点「U-Select城北」(埼玉県和光市)で始め、順次拡大を視野に入れる

 ホンダは1月28日、毎月定額の料金を支払って中古車に乗り続けるサブスクリプションサービスを始めると発表した。費用は税金や保険料などを含めて月額2万9800円からで、ローンやリースの煩雑な契約手続きも不要だ。2019年の国内新車販売台数が前の年に比べ3.4%減と市場全体の1.5%減よりも落ち込みが大きかったホンダ。東京や大阪ではカーシェアリングサービスも手掛け、多様化する自動車へのニーズを探っているが、やはりメーカーとしての本音は「クルマを持ってもらいたい」ことに尽きる。価格面でのハードルが低い中古車で消費者とクルマの接点を増やす狙いだ。

 サービス開始の28日時点で対象となる車種は、軽自動車「N-BOX」や小型車「フィット」、SUV(多目的スポーツ車)「ヴェゼル」など5車種。福祉車両も含む。先進の安全装備の有無で月額料金に差を付けた。利用期間は1カ月から最長11カ月までだが、利用者が希望すれば延長にも応じる。まずは埼玉県和光市の中古車販売店「ユーセレクト城北」で年50台程度の利用を目指す。利用する客層などを把握したのちに全国展開も検討する。

 「もう一度車を持ってもらうということを手軽に提供したい」。ホンダの日本本部営業企画部の髙見聡部長は同日、記者団に対しこう述べた。すでにシェアリングサービス「エブリゴー」を東京、横浜、大阪で展開しているが、土日は混雑で借りられないことや、車内空間を自分好みにしたいといった、利用だけでは満たせないニーズがあることに気づいたという。サービスをより所有側に近づけることで潜在的な購入ニーズの掘り起こしにつなげる。

 自動車のサブスクはトヨタ自動車も「KINTO(キント)」の名称で手掛けている。キントは従来、新車が対象で安いプランでも3万円台だったが、利用が期待通りに伸びているとはいえない。テコ入れしようと中古車でのサービスをこの1月に始めたばかりだ。

 「最初は新車を考えたが、価格が高くなる。割安感を出そうとすれば期間が長くなり、手軽さがなくなる」。ホンダの髙見部長は中古車で月額2万9800円からとした理由についてこう話す。とはいえ、総務省の家計調査によると、2人以上の世帯の月平均消費支出28万7000円あまりのうち、自動車等関係費は2万3285円にとどまる。それに対し、先進の安全装備を搭載したヴェゼルなら月額5万9800円。もちろん、自動車を保有しない世帯を含んだ数字とはいえ、消費動向からは決して「割安」とはいえないサービスの姿も見えてくる。

 年50台と控えめに動き出した新サービスだが、ホンダが狙うような「手軽さ」を訴求できる価格設定になっているか。それは消費者の今後の利用動向が示すことになる。

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