「『愛している』などのメッセージに乗せられ、被害女性たちはすっかりマインドコントロール下に置かれてしまう」。「国際ロマンス詐欺」の被害者などを支援するNPO法人「M-STEP」の新川てるえ理事長はそう嘆く。
別人を装ってSNSなどで接触し、結婚や交際をちらつかせて金銭をだまし取るのが、国際ロマンス詐欺の手口だ。

福岡と埼玉両県警は1月22日、詐欺容疑でナイジェリア籍の男ら4人を逮捕した。「君に会いに行くのに金が必要だ」などと言いくるめて、福岡県内に住む50代の女性から約600万円を詐取したという。国際詐欺グループは国外にいることが多いが、このケースでは日本にいたため、摘発につながった。
国際ロマンス詐欺で多用される職業は米軍の士官や軍医だ。「モテる」うえ、「『戦地におり、軍の規則でビデオ電話には応じられない』などの言い訳が立ちやすいため、米国軍人に偽装することが多い」と新川氏は解説する。
新川氏によると被害者の6割は独身だが、配偶者がいる人も4割に上る。「幸せな結婚生活を送れていない人がそれだけ多いということだろう」と分析する。
被害者は女性に限らない。「女性は恋愛に慎重なため、詐欺師を信頼するまで数カ月かかることもある。一方、男性は短期間で金銭をだまし取られる傾向にある」と新川氏。男性は、下心が先立ってしまうのかもしれない。

国際ロマンス詐欺の被害は金銭だけでなく、人間関係にも及ぶ。新川氏は「親族や知人にいくら『だまされているんじゃないの』と言われても、被害者たちはマインドコントロールされており、交際に反対する敵とみなしてしまう」という。まさに恋は盲目だ。「詐欺であることに気づいたら、素直に謝って人間関係を修復してほしい」と助言する。
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