国内で潜在患者数が約1000万人に上るという精神疾患。その治療に向けて、スタートアップのemol(エモル、京都市)がスマートフォンアプリによる認知行動療法を試みようと開発を進めている。今春にも、薬事承認に向けた特定臨床研究に着手。25日には研究資金の調達も発表した。医師にとっての費用対効果の低さなどから適切な治療が進まない現状を打破し、2027年には世界で2兆円規模に到達するとされる「デジタル治療」市場の開拓にも挑む。

 emolは2023年1月25日、みずほライフサイエンス第1号投資事業有限責任組合、The Independents Angel2号投資事業有限責任組合、G-STARTUPファンド、廣瀬智一氏、加藤浩晃氏、藤本修平氏、F Ventures、MIRAISEが第三者割当増資に応じたと発表した。調達金額は非公表だが、臨床研究や人材強化に充てていく考え。

 emolが開発を進めるスマホアプリ「emol」は、認知行動療法に基づくプログラムを搭載。人手が介在することなく、AI(人工知能)チャットボットとのやり取りで精神疾患の治療を図る。

 同アプリではまず、チャットボットが患者の病気の特徴や症状などを説明。どのような治療が必要かといった心理教育を施した上で、1セッション10分程度の治療を16回、プログラム形式で行う。

スマホアプリ「emol」ではAIチャットボットとのやり取りや、事前に組まれたプログラムで患者自身が認知行動療法を実施する
スマホアプリ「emol」ではAIチャットボットとのやり取りや、事前に組まれたプログラムで患者自身が認知行動療法を実施する

 アプリの開発は、兵庫医科大学(兵庫県西宮市)精神科神経科学の松永寿人主任教授との共同研究で進めている。現在は、不安感や強迫観念から、それらを打ち消すための強迫行為を繰り返してしまう「強迫症」と呼ぶ症状に特化した治療アプリを開発している。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1303文字 / 全文1997文字

【初割・2カ月無料】有料会員の全サービス使い放題…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、11年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「1分解説」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。