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 「新しいページを開く一歩である。大いに歓迎をしたい」

 24日、仏自動車大手ルノーが仏タイヤ大手ミシュランのジャンドミニク・スナールCEO(最高経営責任者)を会長として迎える新経営体制を発表したことを受け、日産自動車の西川広人社長兼CEOは同日夜に会見を開き、こう語った。

4月に臨時株主総会を開催すると説明した日産の西川広人社長兼CEO(写真:共同通信)

 同時にカルロス・ゴーン元会長が逮捕された昨年11月以降、再三、ルノーに要求されてきた臨時株主総会を4月第2週に開く意向も表明。これまで硬直状態が続いてきた両社の関係が一気に緩和ムードに向かうかにも見える。だが、日産の狙いは別のところにありそうだ。

 カギは臨時株主総会が「カルロス・ゴーンおよびグレッグ・ケリー両取締役の解任、および新たにルノーが指名する取締役1名の選任に目的を限定」(日産が会見で配布した資料より)している点にある。この「ルノーが指名する取締役1名」というのがルノー新会長のスナール氏のこと。表向きに日産は、まずはスナール氏を日産の取締役会に入れ、共に日産のガバナンスについて議論を深めてから6月の定時株主総会で新しい経営体制を固めたいとしている。

 もっとも、これは、「できるだけ早い段階でルノーの出身者を日産の新会長に据える」というもともとのルノーの目的とは異なる。

 株主総会であれば、臨時であろうと定時であろうと日産の新経営体制を決める場にすることはできなくないはずだ。だが、そうしないのは、ルノーの大株主であるフランス政府が望んでいるとされる「ルノーと日産の経営統合」を食い止める狙いがあると考えられる。

 「現時点では経営統合の話をする段階にはない」。西川CEOは24日の会見でこう明言したうえで、さらにこんな発言を繰り返した。

 「アライアンスはそれぞれのメンバーが利益を得られるように発展していくことが重要だ」「日産は規模としてはメンバーの中で最も大きい」「日産が自らリーダーシップをもってアライアンスを活用していく姿勢が大切」「大株主であるルノーを株主として尊重しなければならない」――。

 日産の自律性を保つことが今後のアライアンス発展につながり、引いては株主であるルノーにもメリットがあることを強調したのだ。これまで日産は、ルノーの取締役会と直接、会話を交わすことを拒否され続けてきた。まずは4月の臨時株主総会でスナール氏と直接対話する体制を整え、日産の主張を理解してもらったうえで定時株主総会を開けば、自社に有利に進められると考えているのだろう。

 果たしてスナール氏は日産の主張に理解を示すのか。4月と6月にかけての「春の決戦」から目が離せない。