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 「今、私自身がPMIをやっている。もう一度自分でやっていく」

 日本電産は1月23日夕方、2019年10~12月期連結決算を発表した。営業利益が四半期ベースで5四半期ぶりに増益に転じたことが注目されたが、永守重信会長CEO(最高経営責任者)が、決算会見の席でふと漏らしたこの言葉にむしろ同社の今の変化が読み取れる。

1月23日、決算会見で説明する日本電産の永守重信会長CEO(写真:共同通信)

 永守会長が意欲をのぞかせたのは、昨年10月にオムロンから買収した車載用制御機器メーカー、日本電産モビリティ(旧社名・オムロンオートモーティブエレクトロニクス)の立て直し。同社はかつて営業利益率が6%程度あったものの、足元では「収支トントン」(永守会長)に落ちていた。PMIとは買収後の統合作業のことであり、かつて不振企業の再建で鳴らした永守会長が再び自ら先頭に立って腕を振るう意欲を示したのである。

 永守会長は18年6月、吉本浩之・副社長(当時)を社長COO(最高執行責任者)に選び、海外事業を中心に実務の一部を任せて両者で分担する体制を取り始めていた。自らはCEOを継続しながら、後継者としての適格性を見ながら事業を少しずつ渡していくためだった。

 ところが、米中貿易摩擦の影響などで18年末から中国経済の減速が本格化し、19年3月期決算予想をそれまでの増益から減益へ下方修正。その後も停滞が続いたため、吉本社長は19年7月からは米・セントルイスにある家電・商業・産業用モーターの事業本社に常駐し、その収益力改善に専念することとなった。さらに同年末には、日産自動車の副COOでナンバー3の関潤氏を社長含みで迎えると報じられ、この日の会見で今年1月に入社したことを明らかにした。

 永守会長が改めて前面に出る覚悟をのぞかせたのは、大幅成長へ今こそ千載一遇の好機と見ているからだろう。この日の決算では、四半期ベースで営業利益が前年同期比15.2%増となったが、通期(20年3月期)予想では売上高が1兆5500億円、営業利益が1400億円と、昨年10月に続いて2度目の下方修正となった。

 その主要因は、EV(電気自動車)の需要拡大を見て駆動モーターの工場などへの投資を一気に引き上げたこと。既に受注残は25年分までで1000万台に積み上がっており、欧州、北米、中国などへの工場の新増設などで「今後5000億円を投資する」(永守会長)と言い切る。

 部品の段階から相当部分を内製化し、コストを大幅に引き下げることで競争力をつける考え。生産技術に精通した関氏はそのために招へいしたものだ。永守会長は、自ら改革に乗り出す日本電産モビリティも「数四半期先には営業利益率を2桁にする」と言う。関氏らテクノクラートを使いながら「駆動モーターでも圧倒的な世界シェアを取る」。永守節が一段と高く響く。

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