KDDIがインターネット証券のカブドットコム証券に最大1000億円出資する方向で調整していると24日、報じられた。同社は成熟化する携帯電話事業に替わる成長領域として非通信事業の強化を図っており、これまでも異業種との提携やM&A(合併・買収)を積極的に進めてきた。カブドットコム証券への出資もその一環となる。

高橋誠社長は多数の異業種との提携をまとめてきた(写真:共同通信)
高橋誠社長は多数の異業種との提携をまとめてきた(写真:共同通信)

 報道を受けてKDDIは「カブドットコム証券と金融事業において様々な可能性を検討しているが、決まった事柄はない」とコメントを発表した。

 金融サービスは、KDDIが強化を図ってきた非通信事業の中でも、特に力を入れてきた分野だ。2008年に三菱UFJ銀行と「じぶん銀行」を共同設立。11年にはあいおいニッセイ同和損害保険との共同出資会社を通じて損保事業に、15年にはライフネット生命保険との資本・業務提携で生保業界に参入した。さらに18年からは大和証券グループ本社と共同出資会社を設立して個人型確定拠出年金(iDeCo)事業も始めた。一連のM&Aを通じて得た金融サービスに主力の携帯電話事業で築いた顧客を送り込み、新たな収益の軸に育てるのがKDDIの狙いだ。

 カブドットコム証券への出資の検討もこうした戦略の延長線上にあるが、課題はどう相乗効果を生み出すかだ。ある通信業界担当のアナリストは、「所得や資産の多いシニア層など優良顧客を抱えるNTTドコモに比べ、KDDIの契約者は若者が多い。収入が伸び悩んでいる若年層に金融サービスや金融商品を売り込むのは、そう容易ではないだろう」と指摘する。

 市場飽和に加えて、政府の通信料金引き下げ要請、ネット大手・楽天の新規参入もあって主力の携帯電話事業では、現在の高い収益性を今後も享受できるかどうかはわからない。本業の不透明さを「最大1000億円」という巨額出資が吹き飛ばせるのか。

日経ビジネスでは2019年1月28日号のケーススタディー「KDDIの提携戦略 あえて敵に塩を送るワケ」で、同社の提携戦略について詳述しています。こちらもぜひお読みください。

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