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 仏自動車大手ルノーは24日、取締役会を開く。特別背任罪などで日本で起訴されているカルロス・ゴーン会長兼CEO(最高経営責任者)の後任人事を決め、新たな経営体制の確立に動き出す。日産自動車と三菱自動車が昨年11月の逮捕後、即座にゴーン氏の会長職を解く一方、ルノーは対応を見送ってきた。焦点はルノーとしてゴーン氏を「解任」するのか、ゴーン氏自らの申し出を受けて「辞任」とするか。どちらになるかで、ゴーン氏の将来も左右する。

ルノーでも職を解かれる見通しのカルロス・ゴーン氏(写真:ロイター/アフロ)

 ゴーン氏の後任会長候補には、タイヤ大手ミシュランのジャンドミニク・スナールCEOの名前が挙がる。新CEOにはティエリー・ボロレ副CEOが昇格する見通しだ。ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表は「じっくりと後任を固めて行動に移すというだけで、当初から、ゴーン氏が残る可能性はゼロだった」と指摘する。

 焦点は、ゴーン氏の経営トップからの外れ方だ。仏紙レゼコーは22日、ゴーン氏がルノーの会長兼CEOを辞任する意向を固めたと報じた。ルノーはこれまで「不正を認定する十分な情報がない」というスタンスを取り、大株主の仏政府も「推定無罪の原則」のもと、ルノーの判断を支持してきた。

 ゴーン氏は日本での特別背任の容疑を強く否定している。このため、勾留はさらに長引く可能性が高く、仮に保釈されても、関係者との連絡が制限されれば会長業務の遂行は難しい。フランスのルメール経済・財務相は16日、「新しいガバナンス体制を望む。今がその(新たな段階に進むべき)時だ」と言及していた。

 仏紙フィガロによると、ルノーは18日に指名委員会を開催。ゴーン氏の処遇について「辞表の提出」を求めることにしたもようだ。役員が不祥事の責任を取る場合、企業は解任の手続きを取る場合もある。ただ、解任は「自分以外の意向で職務を解かれること」でいわば「クビ」。一方、辞任の場合は退職金も支給されるのが一般的だ。

 ゴーン氏が日本で起訴されているとはいえ、ルノーは不正の理由が不十分とのスタンスを変えていない。この状況で解任すれば、ルノーが損害賠償請求を受ける可能性もある。弁護士ドットコムの田上嘉一弁護士は「日産との経営統合を見据えると、ゴーン氏に泣いてもらうしかない。ただ、辞任であれば将来の支援も可能だ」と語る。経営への影響を懸念したゴーン氏の意向は、ルノーと仏政府にとっても最適な選択肢なのかもしれない。