ブリヂストンは22日、オランダのデジタル地図大手のトムトムから、インターネットを活用した車両管理サービスを手掛けるトムトムテレマティクスを買収すると発表した。買収金額は1138億円で、日経ビジネスの2019年1月21日号特集「2019年M&A大予測~武田、日立に続くのは」で予想していた規模となった。買収は2019年4~6月期中に完了する見込みという。トムトムテレマティクスを狙っていたのはブリヂストンだけではない。タイヤ以外の業種を含む“異種格闘技戦”が展開されていた。

(写真:ロイター=共同)
(写真:ロイター=共同)

 トムトムテレマティクスは、車両につけた通信機器から運転手や走行状況に関するデータを集め、運転手や運送会社の安全性・効率性・生産性の向上に貢献しているという。86万台の車両に対してサービスを提供しており、そこから得られる大量の情報をさらなるサービス改善につなげる。

 このビッグデータを狙ったのはブリヂストンだけではなかった。トムトムテレマティクス買収については、同業のライバル、仏ミシュランや通信大手の米ベライゾン・コミュニケーションズ、さらに欧米の投資ファンドや欧州の完成車メーカーなども参戦した争奪戦になったという。それだけ、自動車の走行データの価値は業種を問わず市場で高まっているのだろう。

 こうした争奪戦は入札にかけられ、当初想定よりも買収価格がつり上がることが多い。ブリヂストンが目論見通りの価格で買えたかは定かではないが、資金力が豊富なライバルに競り勝ったのは大きい。「タイヤ業界もCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の時代になる」と話し、タイヤにセンサーを付けて走行状況を分析するなどのビジネスに注力している津谷正明CEO(最高経営責任者)の執念が垣間見える。

 自動車関連業界は、自動運転やコネクテッドなど押し寄せる新たな波に対応するため異業種が入り乱れた提携が展開されている。既存の業種の壁が崩壊している代表例だ。ブリヂストンのように、異種格闘技の買収合戦を強いられる日本企業は今後もどんどん出てくるはずだ。

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