不動産経済研究所(東京・新宿)が22日に発表した2018年の首都圏のマンション市場動向調査によると、供給戸数は3.4%増の3万7132戸だった。これだけみると「好調だった」と総括してしまいそうだが、心穏やかではない数字がいくつも潜む。例えば販売を始めた月に売り出された戸数のうち、契約に至った割合を示す「初月契約率」。これは平均で62.1%と1991年以来21年ぶりの低水準となった。超低金利を背景に堅調さを維持してきたマンション市場に異変が生じていると見るほうが妥当だろう。

19年も湾岸部を中心に大規模供給が計画されているが……(写真:武藤守/アフロ)
19年も湾岸部を中心に大規模供給が計画されているが……(写真:武藤守/アフロ)

 初月契約率をもう少し深掘りすると、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の18年の平均は前年比で6.0ポイント下落した。好不調の境目とされる70%を3年連続で下回っている。かたや平均価格はほぼ横ばいの5871万円で、平米単価は86万9000円と6年連続で上昇。「高くて売れにくい」という印象が強まっていると言える。初月契約率の推移を見ると、11月が53.9%、12月が49.4%と年末にかけての低下傾向が見てとれる。同研究所の松田忠司主任研究員は「デベロッパーが計画したほど売れなかった事情がある。年末になってその分が吐き出されて、供給がより過剰になった」と分析する。

 19年はどうだろう。市況を左右するイベントとして、不動産各社が10月に予定する消費税率10%への引き上げを警戒してきたことは言うまでもない。

 ただこの部分に関しては、景気落ち込みと支持率低下の回避を狙う安倍晋三政権による「万全な対策」で、反動減はさほど起きないとの見方が一般的になりつつある。むしろ、最近の各社の懸念材料は「対策の効きすぎ」だ。増税後に購入した方が得なのではないかという消費者心理が膨らむことにあるという。大手デベロッパー中堅社員は「制度の周知が進むと、急激な買い控えが起きかねない。消費増税の前と後でどちらが得かという話は、客に対しては控えるよう申し合わせている」と明かす。増税の対策をしっかりしてほしいと強く要望していた人たちが、今度は対策が効きすぎる可能性に気をもむというどこかちぐはぐな事態になっている。

この記事はシリーズ「1分解説」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。