ソフトバンクとヤフーが運営するスマートフォンの決済サービス「PayPay」が総額100億円の還元キャンペーンを打ち出したのは2018年12月初め。決済に対応したビックカメラには長蛇の列ができ、還元の原資はわずか10日間ほどでなくなった。この狂騒曲の裏側には、陰の勝者が存在する。

 正体はヤフーが出資する金融機関、ジャパンネット銀行(東京・新宿)。法人の新規口座開設数を18年12月前半で17年の同じ期に比べて実に2.5倍に増やした。その多くは、PayPay決済を店頭で導入した加盟店の店主たちというのがミソだ。

 なぜか。クレジットカードをはじめキャッシュレス決済の場合、当然ながら「消費者が店頭で買い物をするタイミング」と「店側が決済サービスの提供会社から売上金を受け取るタイミング」に時間差が生じる。クレジットカードだと一般的に月2回に分けて入金される。QRコード(2次元バーコード)決済の有力サービスである「LINE Pay」でも、その月の売り上げは翌月末に戻ってくるといった具合だ。

 こうした仕組みを熟知していたジャパンネット銀行が対応に動いた。PayPay決済に「最短で翌日入金」という方式を取り入れたのだ。もちろんその場で受け取れる現金ほど早くはないが、店側にとっては従来型に比べれば資金繰りは大幅に楽になる。そもそも零細商店のなかには、入金の時間差を嫌がって現金決済にこだわってきた所も多かった。こうした現状や気持ちを冷静に分析し、速やかに処方箋を出したことが勝因と言える。

 2000年開業のジャパンネット銀は、日本のインターネット専業銀行の先駆けである。だが預金残高で見れば後発の住信SBIネット銀行やソニー銀行などに追い越されて久しく、独自の成長プランを描けるかどうかが問われている。今回の需要掘り起こしに限らず、新たな顧客層へのアプローチを続けられるかが問われそうだ。

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