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 4月から携帯事業に本格参入する楽天。同社の事業の本丸である「楽天市場」が揺れている。

 楽天市場の出店者による任意団体「楽天ユニオン」は1月22日、楽天が出店者に示す方針が、優越的な地位の乱用を禁じた独禁法違反に当たるとして公正取引委員会に楽天を調査するよう求める署名を提出した。楽天は出店者に対し、3月から利用者が店舗で税込み3980円以上の商品を購入した場合、送料を原則無料としてその分を出店者が負担する方針を示し、一部の出店者が反発している。

楽天の出展者による任意団体「楽天ユニオン」は楽天が示している送料に関する方針に反発し、会見を開いた

 同日、楽天ユニオンが都内で開いた会見に参加したある出店者は「これまで送料無料の基準は1万1000円。平均の客単価も1万1000円に近いラインだった。送料無料が一律3980円になると、客単価が下がる。まとめて買っていたものを2回に分けて買うようになるが、梱包や出荷の手数料は2倍かかる」として利益の減少を懸念した。

 楽天の野原彰人・執行役員コマースカンパニーCOO(最高執行責任者)は同日に開いたメディア向けの説明会で送料無料化の実証実験で店舗の売り上げ増につながった結果を示し、「出店者の理解を得る努力を続けていきたい」と語った。

 楽天は国内EC(電子商取引)の先駆けとして1997年に楽天市場のサービスを開始した。先行者の強みを生かして業容を拡大してきたが、米アマゾン・ドット・コムの上陸や、ZOZOなどの新興勢の台頭で、優位性を示せなくなってきた。その1つが、送料問題だ。楽天が2019年に実施した調査によると、「送料が原因で購入をあきらめた割合」はアマゾンの57%、ZOZOの40%に対して楽天市場は68%と競合より高かったという。

 楽天市場はマーケットプレイス型のECで、いわゆる「場所貸し」のビジネスモデルだ。価格の決定や送料無料化などの線引きは出店者にゆだねる形態だった。店舗によって送料負担の構造が異なっていたため、利用者からは分かりづらいという声も出ていた。

 アマゾンにも「マーケットプレイス」があり、そこでの送料は出店者の方針により異なるが、中核のサービスはアマゾン自身が在庫を抱えて販売する形だ。一定の会費を払えば送料が無料になり、利用者からすると分かりやすい。

 生き残りをかけた競合との戦いに加え、楽天にはもう1つの壁が立ちはだかる。公取委によるプラットフォーマー規制だ。市場で強い影響力を持つプラットフォーマーへの規制は世界で進みつつあり、楽天もその対象となりそうだ。中小の事業者の意見をくみ取っているとライバルに競り負ける可能性がある。一方、聞く耳を持たなければプラットフォーマー規制によって事業展開に支障が出かねない。

 楽天は3月18日の送料無料化サービス開始に変更はないと強調する。しかし、対応を間違えば、出店者だけでなく、公取委にもにらまれるダブルパンチとなるリスクもある。

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