東芝の連結子会社で発覚した架空取引に、2社の東証1部上場企業が絡んでいたことが発覚(写真:共同通信)
東芝の連結子会社で発覚した架空取引に、2社の東証1部上場企業が絡んでいたことが発覚(写真:共同通信)

 東芝の連結子会社、東芝ITサービス(川崎市)で発覚した架空取引に、2社の東証1部上場企業が絡んでいたと報じられた。「循環取引」があったとみられるが、この循環取引ってそもそも何だろう。

 東芝ITサービスでは2019年4~9月期に売上高に200億円規模の架空計上があったことが分かっている。この取引に、東証1部上場のシステム開発会社、ネットワンシステムズと、日鉄ソリューションズが関わっていたという。

 そもそも循環取引とは何か。一般に複数の会社間で取引を連続させて製品や資金を回し合い、実態のない売上高や利益を計上することを指す。取引をするたびに手数料を付けるため、繰り返すうちに金額だけが膨らむ。しかし、実態が伴わないため、最後には資金繰りが追い付かなくなる。いわば、「禁断の取引」だ。

 不正会計の手口としては古くから知られている循環取引だが、企業経営に深刻な打撃を与えることが少なくない。冷凍食品の加ト吉(現テーブルマーク)は2007年に循環取引が発覚。資本提携していた日本たばこ産業(JT)に救済される形で、同社の傘下に入った。16年には昭和電工の子会社、昭光通商が、循環取引に巻き込まれていたことが発覚。その後、決算や有価証券報告書を訂正する事態となった。

 循環取引は見せかけの売上高が増えることから、売上高を一時的に大きく見せようとする場合に使われることが多いとされる。不正取引に詳しい税理士によると、「比較的小さな金額で始まることが多いが、繰り返すうちに手数料の支払いが大きな負担になっていく。結局は不正取引から抜け出せなくなり、発覚時には金額が大きく膨らんでいる」という。

 企業の不適切会計はこのところ増加している。東京商工リサーチの調べによると、19年1~11月に不適切会計を開示した上場企業は64社で前年同期比18.5%増。件数ベースで見た場合にも、67件と前年同期から24%増えている。社数、件数ともに集計を開始した08年以降、過去最多となった。

 特に目立つのが子会社・関係会社が舞台となっているケースだ。売り上げ増や利益捻出のための不正経理が多い。本体に比べると細部まで目が届きにくい子会社のガバナンス体制に原因がある、との指摘は少なくない。

 今回、循環取引に加わったとみられる東芝ITサービスや日鉄ソリューションズも、それぞれ東芝と日本製鉄の子会社だ。

 特に東芝ではこれまで高い目標達成を求める「チャレンジ」などが不適切な会計の温床になったとして、ガバナンスを抜本的に見直してきた経緯がある。にもかかわらず、なぜ子会社が売上高を大きく見せる手法である循環取引に手を染めることになったのか。東証1部復帰に向けた準備を進めている最中であるだけに、いっそう本格的な理由の解明が急がれる。

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