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SUBARUがトヨタ自動車と共同開発しているEVのモック

 SUBARU(スバル)は1月20日、報道陣やアナリストなどを対象に技術説明会を開いた。技術分野に特化した説明会を開くのは、2018年6月に就任した中村知美社長の下では初めてのことだ。中村社長は「100年に一度といわれる変革期でも長年培ってきたものは変わらない」と強調。自動車業界を取り巻く「CASE(つながる、自動運転、シェアリング、電動化)」の変化の中でも、独自の存在感を発揮していく構えだ。

 今回、スバルは30年までに世界販売台数の40%以上をEV(電気自動車)とHV(ハイブリッド車)にする目標を初めて公表した。とはいえ、ここで頼みとするのは資本提携するトヨタ自動車の技術だ。20年代前半の投入を予定するSUV(多目的スポーツ車)のEVはトヨタと共同開発する。HVでもトヨタの技術をベースに、スバル独自の水平対向エンジンを組み合わせる。

 既にトヨタやホンダが実用化しているFCV(燃料電池車)についても「基礎的な研究はやっている」(大拔哲雄専務執行役員)と述べるにとどまる段階だ。

 それは仕方のないことかもしれない。スバルは20年3月期に1200億円の研究開発費を見込むが、トヨタは1兆1000億円、ホンダは8600億円をそれぞれ見込んでいる。年間販売台数が100万台規模、連結売上高で3兆円規模のスバルが数千億円の研究開発費を投じるのは不可能だ。なるべくコストを抑えながら、CASEに対応したい。これがスバルの生きる道でもある。

 それは自動運転技術の開発でもうかがえる。緊急時以外は運転をシステムに任せることができる「レベル3」に近い「プロパイロット2.0」を実用化した日産自動車や、レベル3の自動運転車を今夏にも発売する予定のホンダに対し、スバルは運転者が主体で加減速とハンドル操作の両方を自動化する「レベル2」の技術水準を高めていく方針だ。システム側が主体となるレベル3以上では多額の研究開発費が必要となるだけでなく、車両価格も高くなる。

 ホンダのレベル3搭載車の価格は1000万円程度になるともいわれる。それに対し、スバルは「顧客が求めやすい価格でやりたい」(大拔専務執行役員)。2台のカメラで前方を認識する安全技術「アイサイト」などを応用する形で、大幅な価格上昇なしで自動運転のメリットを運転者が享受できるシステムの構築を目指す考えだ。

 水平対向エンジンや四輪駆動、アイサイトなど独自の技術とそれがもたらす走りの良さが愛され、存在感にもつながってきたスバル。中村社長は日経ビジネスなどとのインタビューで、「現場にはトヨタとは仲良くけんかしてほしいと伝えている」と話した。20日のプレゼンでも顧客との結びつきの深さが他社との違いになっていることに言及、自らが構築してきたブランドに対する自負を垣間見せた。自動運転や電動化で最先端をいかない選択肢で生き残ることができるのか。スバルの「弱者の兵法」が試されようとしている。

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