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(写真=shutterstock)

 中国の景気悪化が鮮明になってきた。中国国家統計局が1月21日に発表した2018年の国内総生産(GDP)は実質で前年比6.6%増えた。成長率は17年から0.2ポイント縮小し、天安門事件の影響があった1990年以来28年ぶりの低い成長率となった。

 景気減速の兆候は以前からあった。14日に中国汽車工業協会が発表した2018年の新車販売台数は前年比2.8%減の約2808万台と、こちらも28年ぶりに前の年を割り込んだ。「トヨタを中心に日系自動車メーカーの販売はいいが、全体的には厳しくなっていると感じる」。中国で勤務する日系自動車メーカーの関係者はこう語る。

 スマートフォンの販売も低迷。日本電産の永守重信会長は業績下方修正の会見で「尋常ではない変化が起きた」と中国減速の影響を強調した。

 中国では昨年秋ごろから、IT企業を中心にリストラや採用の絞り込みが始まっているとの情報が出ていた。そんな中、米ブルームバーグは18日、中国ネット通販最大手のアリババ集団が採用した人材の就業を一部凍結し、出張費を削減していると報じた。アリババ側は中国のSNSで「人材を採用しないわけでない」などと反論しているが、中国の減速を印象づけた。

 問題は減速がどこまで続くかだ。GDPの発表を受けて中国や日本の株式市場に大きな影響はなかった。中国政府の2018年の成長率の目標は6.5%。市場にとって28年ぶりの低成長は織り込み済みだった。政府は景気刺激策を打ち出しており、2019年後半には景気が上向いてくるとの見方もある。

 だが先行きを楽観できない不安要因もある。1つは当然ながら米中貿易戦争の行方だ。中国の景気は米中貿易戦争の影響が出始めた昨年秋以降に落ち込みがはっきりし始めた。米国の目的が単に米国の対中赤字を減らすことにとどまらず、長期的な中国の台頭を抑えることにあるならば、両国の対立は容易に解決できないことになる。

 2つ目は不動産に頼った経済成長が取りづらくなっている点だ。中国の都市部の成長は不動産投資による面も大きい。だが、大都市では不動産の高騰による負の影響も大きくなってきた。中小の都市では需要があるか分からないマンションやビルが立ち並んでいることも少なくない。「バブルの破裂」とまではいかなくても、不動産開発によるGDPの底上げと資産効果による消費の伸びを期待することは難しい。

 3つ目はインフラ投資だ。政府はインフラ投資を増やすことで景気を刺激しようとしている。しかし、地方政府の債務問題は深刻で、野放図に増やすことはできない。以前のように、地方政府が投資会社を作り、資金を調達する手法も制限されている。

 米国との貿易戦争はともかく、不動産やインフラ投資については以前から指摘されてきた問題ではある。中国政府は経済成長や国民生活を損なわないように改革を進めようとしているが、問題は残ったままだ。昨年末、中国は改革開放から40年の節目を迎えた。戦後の日本を上回る急成長を遂げた中国はこれから本格的にそのひずみと対峙しなければならない。