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 積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」が始動して、2019年1月でちょうど1年がたった。公的年金制度が疲弊するなか、若年・青年層に自ら老後資産を準備してもらおうという制度。しかし、口座開設数は18年9月末時点で87万件、累計の金融商品買い付け額は575億円と、一般NISAの約15兆円に比べ3ケタも少ない規模にとどまっている。

積み立て投資を続ければ、株式市場が変動しても十分な資産形成ができると言われるが……(写真:PIXTA)

 制度が盛り上がらない最大の要因は、低調な株価だろう。制度が始まった昨年1月から毎月末に一定額を日経平均連動のファンドに投資した場合、7%のマイナスになる。手数料などを考慮すると、実質的なマイナスはさらに拡大する。

 若い世代を対象にとした20~40年先を見据えた資金形成という前提で、政府や証券会社などは「積み立てをすれば株価の乱高下の影響を抑えられる」と説くが、投資開始早々に株安となるとどうしても興ざめしてしまうのが人間の性だ。

 海の向こうの米国で積み立て投資を根付かせたDC(確定拠出年金)制度が本格整備されたのは1980年代の初め。それから40年弱、リーマン・ショックなどを除けば株価は右肩上がりに成長し、ダウ工業株30種平均は26倍の水準となった。積み立て投資の重要性は多くの人が実体験として理解し、もはやお上や証券会社から教育される必要は乏しい。

 日本に「積み立て投資家」が育たないのは、1970~80年代など日本経済が成長期を迎えてきた頃に、金融業界が手数料収入を目当てに短期売買の投資家ばかりを重視してきたことが背景にある。40年前のツケが今になって重くのしかかっているのだ。