旧村上ファンド系のオフィスサポート(東京・渋谷)からTOB(株式公開買い付け)の通告を受けたと1月17日に発表した東芝機械。同社の飯村幸生会長兼CEO(最高経営責任者)が1月20日、日経ビジネスの取材に応じ、「彼らのやりたいことには賛成できない」と主張、すでに明らかにしている買収防衛策の正当性を強調した。

飯村氏によれば、「TOBは1月10日に突然通告された」。当初、オフィスサポートは東芝機械に、1月21日にTOBを公表し、22日に開始すると通告していたが、16日には「20日公表・21日開始」とスケジュールを早めてきたという。
オフィスサポートは2018年から東芝機械株を保有し、共同保有者と合わせると11.49%の株式を持っているという。大株主の立場から東芝機械に対し、かねて自己資本利益率(ROE)向上などの資本政策を要求。東芝機械によれば、18年11月から8回ほどミーティングの場を持ち、東芝機械側はキャッシュの使い方などを説明してきた。
そんなオフィスサポートから突如、通告を受けたTOB。飯村氏は、東芝のTOB提案に乗る形で決めた、ニューフレアテクノロジー株売却と関係があるとみる。ニューフレアの第2位株主である東芝機械は、東芝が上場子会社であるニューフレアの完全子会社化を狙って打ち出したTOBに賛同していた。
飯村氏は「ニューフレアの案件でキャッシュが入ってくると分かった途端に、TOBの通告があった」と説明。東芝機械側は2月上旬に資金の使い方などを対外的に発表するとオフィスサポート側に説明したが、オフィスサポート側はむしろ東芝機械へのTOBを強く主張するようになったという。「最初の通告から1週間ほどの間に事態が急変した。こんなやり方をされると、取締役会として適正な動きができない」。飯村氏はこう主張する。
対抗策として東芝機械が打ち出したのが、買収防衛策だ。まず、オフィスサポートに対して、取締役会や株主総会での判断材料となる情報開示などを要求。オフィスサポートが実施するTOBへの賛意をほかの株主に問うにしても、判断に必要な情報や時間を提供する必要があるとの立場だ。
この要求に従わない場合、東芝機械は17日に設置した社外取締役で構成する独立委員会の意見を尊重しながら、対抗措置を検討する。対抗措置としては、新株予約権をほかの株主に無償で割り当て、買収者の持ち株比率を減らすもので、実行されれば旧村上ファンド系にとって痛手となる。
飯村氏は「(旧村上ファンド系側が)株主総会を尊重しないやり方を取るのであれば、対抗措置を検討しなければならない。取締役会として大多数の株主に責任が取れない対応をすれば、株主代表訴訟に発展する可能性がある」と話す。
東芝機械には6人の社外取締役がいるが、飯村氏によれば、全員が旧村上ファンド系によるTOBに反対しているという。
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