「違いを出せるのは日本だけ」

 靴下は、量販店で「3足1000円」が珍しくない商品だ。しかし1970年代後半に始まったこのトレンドに越智氏は徹底的にあらがった。

 品質に妥協しないタビオは、1足1000円くらいの靴下を数多く取り扱い、高いと3000円ほどもする。主力商品は国内の協力工場によるメードインジャパンだ。

 「日本には優れた機械があって、それを使いこなす優秀な人材がいる。安い商品との微妙な違いを出せるのは日本だけだ」と語る。その結果、固定客をつかみ、靴下だけで150億円を売り上げる、国内に例を見ない会社になった。

(写真=菅野 勝男)
(写真=菅野 勝男)

綿へのこだわり 「日本の休耕地で綿花栽培を」

 インタビュー終盤、「私はまだ理想に燃えている。やることがある」と語り始めたのは、靴下の原料となる綿花づくりだった。奈良県の耕作放棄地で種から綿花を栽培している。薬品や化学物質を使わず、地元のシルバー人材を活用するSDGs(持続可能な開発目標)に沿ったプロジェクトだ。

 一部、靴下に使って販売したことがあるほか、下着なども試作した。「身に着けるとほんとに良いですよ。日本中の休耕田をどんどん綿畑に変えていったら、日本が綿製品を輸入しなくてよくなるばかりか、品質が高い綿製品を使えるようになるかもしれない」と目を輝かせた。

 「夢もやることもいっぱいあるやろ。私ももう年だから、仕事を続けてもあと20年くらい。少し目障りでも、それくらいは我慢せいと社内では言ってますわ(笑)」。仕事と夢の話になると止まらなかった越智氏。もう夢や新しいアイデアの話を聞かせてもらえないのは寂しい限り。だが、仕事をする姿を通じて伝えてきた商品や仕事へのこだわりは、後を継ぐ者たちに十分浸透しているに違いない。

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ウェビナー開催 西口一希氏とミスミに学ぶ 会社を成長させる「顧客理解」

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