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 東芝の上場子会社、ニューフレアテクノロジーを巡る東芝とのTOB(株式公開買い付け)合戦で敗れたHOYAの鈴木洋CEO(最高経営責任者)が1月17日、日経ビジネスの電話取材に応じた。「ノーならノーでしょうがない」。その口調はさばさばしていた。

HOYAの鈴木洋CEOが東芝とのTOB合戦について語った(写真:陶山 勉)

 TOB合戦の発端は昨年11月。東芝は半導体製造装置を手掛けるニューフレアを含む上場子会社3社をTOBで完全子会社にすると発表した。その後、HOYAが東芝よりも1株あたり1000円高い買い取り価格での対抗TOB策を発表。ニューフレア争奪戦が勃発した。

 ニューフレアの筆頭株主は約52%の株式を持つ東芝。第2位株主は約16%を所有する東芝機械だ。東芝はTOBの成立条件として所有割合の14.27%を下限に設定しており、東芝機械が東芝のTOBに賛同すれば、ニューフレアは東芝の完全子会社となることが決まる状況だった。

 東芝によるTOB期限である1月16日を目前に控えた15日夜、東芝機械は臨時取締役会を開き、東芝の買い付けへの応募を決めた。HOYAは新たな対抗策を打ち出すことなく、ニューフレア争奪戦から手を引いた。

 17日、シンガポールで電話取材に応じた鈴木CEOは、買い取り価格の引き上げなどの新たな対抗策を打ち出さなかったことについて、「無理して高い金額を出して自分のリターンを削るという考えはもともとなかった」と説明した。

 一問一答は以下の通り。

東芝によるニューフレアのTOBが成立しました。どのように受け止めていますか。

 東芝がどのような意思決定をするかは5分5分だと思ってTOBの手続きを始めました。東芝がそういう結論に達したということを尊重します。

東芝のTOB価格より1000円高い1株当たり1万2900円にはどのような狙いがあったのでしょうか。

 うちにとってメークセンスする価格ということ。東芝の価格を見て決めたのではなく、投資に対するリターンがある価格として考えていたものでした。それが結果的に1000円高かった。東芝にとってニューフレアが中になくてはならないというわけではないのなら50:50でうちのオファーに乗ってくれる可能性もあると思ってTOBを始めたんです。

もともと決めていた金額だったと。

 ニューフレアは「シナジーがある、うちの戦略にも意味がある」と考えていて、過去にも東芝と何度か「お譲りいただけないか」と話してきました。その過程で、シナジーを考慮して、いくらなら意味のあるリターンが得られるのかという目星をつけている状態でした。東芝がTOBで出した価格が、たまたまそれよりも低かった。それでうちにとって意味のある価格のままTOBをかけたという、それだけの話です。

東芝がHOYAのTOBには応じないと表明しましたが、価格を上げる検討はしなかったのでしょうか。

 ないですね。それは結局うちのリターンが減るということですから。当社にとってリターンが得られる価格でディールが成立するならいいし、しないならしないでしょうがないよね、ということです。無理して高い金額を出して自分のリターンを削るという考えはもともとありませんでした。

 いろいろな仮定をしながら計算するわけですよ。「これだけの期間でこれだけのリターンが出そうだ」と。それを逆算して金額が決まる。価格をどんどん上げていくと、うちにとってリターンのない投資をすることになり、うちの株主の価値を毀損してしまいます。その意思はありません。