野村ホールディングスと投資ファンドの米カーライル・グループが、国内5位のビールメーカー、オリオンビール(沖縄県浦添市、与那嶺清社長)の買収を検討していることが日経ビジネスの取材で明らかになった。オリオンは非上場会社だが、TOB(株式公開買い付け)により子会社化する方針とみられる。オリオン側には投資家グループの傘下に入り、海外展開の強化を含め経営改革を加速させる狙いがあるとみられる。

オリオンの筆頭株主は10%の株を持つアサヒビール。両社は2002年に資本・業務提携をしており、第三のビールを共同開発したり、商品の相互販売をしたりするなど協力関係にある。
アサヒは今後も株を保有し続ける方針とみられ、野村とカーライルによる経営に協力していくもようだ。オリオンには創業家など個人を中心に599人(18年3月末時点)の株主がいる。野村とカーライルはアサヒ以外の株主からTOBで株を買い集める計画だ。買収総額は数百億円規模になるとみられる。

オリオンビールは1957年に沖縄ビールとして設立。名護市にある工場でビールを生産し、沖縄県内を中心に販売している。2018年3月期の連結売上高は前の期比1%増の283億円、純利益は17%減の23億円だった。近年はアジアや北米といった海外販路の開拓にも力を注いでいる。
カーライルは米に拠点を置くファンドのため、北米販路の開拓などで支援を受けられそうだ。買収後は株主が野村、カーライル、アサヒと限られるため、迅速かつ果敢に経営判断をしやすくなる。海外展開を一段と加速する可能性が高い。
野村は自己資金でオリオンに投資するとみられる。2008年の金融危機以来、凍結していた自己資金による企業投資を最近になって再開する方針を明らかにしていた。金融危機以前は外食大手のすかいらーくなどに自己資金で投資した実績がある。野村と共同買収するカーライルは日本国内では「ベビースター」で知られるおやつカンパニーやベアリング用部品大手のツバキ・ナカシマなどへの投資実績がある。
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