三菱UFJ銀行は1月16日、次世代コンセプト店舗「MUFG NEXT」を公開した。税金や公共料金の支払いに対応する高機能端末のほか、テレビ電話でオペレーターと住宅ローン・相続などの相談ができる専用窓口を設けたのが特徴。三菱UFJ銀行の約500支店のうち、今後5年で70~100店を転換する方針だ。

リニューアル1号店となる「学芸大学駅前支店」を1月21日、東京・目黒に開く。入り口近くにATMが並ぶ様子は既存店舗と同じだが、奥に入ると行員の座るカウンタースペースや、その後ろの事務スペースがないのが新鮮だ。
代わりに設置しているのが税金や公共料金の支払い・振り込みに対応する高機能端末や、テレビ電話ブースだ。インターネットバンキングの使い方をレクチャーしてもらえるブースも備えた。


三菱UFJ銀では支店への来客数がこの10年で4割減る一方、ネットバンキングの利用者数は5年で4割増えている。三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規・執行役専務は16日の説明会で「(グループ全体の)デジタル戦略のなかでも重要な第一歩。新しい顧客体験を提供していきたい」と話した。
銀行はこれまで、窓口をはじめ全ての機能やサービスを取りそろえたフルバンキング型の支店を展開してきた。三菱UFJ銀は地域特性やニーズなどを分析。全国約500店のうち、70~100店を今回公開した次世代型店舗に切り替えていく。
同じメガバンクでは、三井住友銀行も次世代型店舗への切り替えを進めている。だが、こちらは行員と個人客とのコミュニケーションを重視する。


例えば2017年夏にリニューアルした笹塚支店(東京・渋谷)は、行員と個人客が隣り合って着席し、同じディスプレーを見ながら金融商品のコンサルティングに応じる「寄り添いブース」を設けている。「事務作業の効率化で浮いた人員を、お客さんとの対話にあてる」(三井住友銀行)とのコンセプトだ。
三菱UFJ銀が開いたMUFG NEXTはもともと、「機械化店舗」という呼び名で準備が進められてきた経緯がある。金融商品にまつわるやり取りは、個人の暮らしぶりなどプライベートに踏み込むケースが多い。機械化によってできるだけスピーディーに、効率よく手続きを進めたいというニーズは大きいだろう。
一方で、多額のお金を動かすうえでは対面でじっくり相談したいというニーズも根強く残りそう。三菱UFJ銀のコンセプトと、三井住友銀のコンセプト。数年後、消費者が軍配を上げるのはどちらになるだろうか。
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