ソニーから独立したパソコンメーカーVAIO(長野県安曇野市)が、ロボットを軸とする電子機器の受託製造サービス(EMS)事業を強化する。1月16日、ロボットの開発・製造からサービス運用までの機能をまとめて提供する「ロボット汎用化プラットフォーム」を発表した。企業のロボット事業への新規参入を促す考えだ。
ロボット汎用化プラットフォームは、CPU(中央演算処理装置)やモーター、マイク、カメラ、センサーなどを使うロボットのハードウエアの設計・製造から、動作に必要な頭脳となるソフトウエア、対話に必要となる音声認識や出入力などのソリューションまで、ロボット開発に必要となる機能をすべて提供するもの。ユーザー登録用のサーバーやサポート業務なども用意する。1月16日に東京ビッグサイトで開催した「第3回ロボデックス ロボット開発・活用展」で提供サービスを初公開した。

VAIOは様々な技術を一括提供することで、一般企業のロボット事業参入のハードルを引き下げたい考え。さらに個別受注が多い、ロボット開発の効率化を図る狙いもある。「我々に任せてもらえば、すべてを提供できる」とVAIO NB事業部の児嶋信二部長は自信を見せる。
もちろん、強い技術を持つ企業とは積極的に組んでいく。今回、HOYAと業務提携し、同社が手掛ける音声合成エンジンをプラットフォームに盛り込んだ。すでに複数の企業と協業しており、「今後もロボットに必要な技術を持つ企業とのパートナー連携を強化したい」と児嶋部長は話す。
VAIOに残る「AIBO」のDNA

VAIO本社がある安曇野市の工場は、かつてソニーのロボット「AIBO(アイボ)」の生産拠点だった。ソニーのパソコン事業分離により2014年7月に独立した後も、かつてのノウハウを活用し、トヨタ自動車や富士ソフト、バンダイなどからロボットの開発・製造を受託してきた。
独立後、VAIOは法人向けパソコンを軸に業績を改善。16年5月期には黒字化を果たした。18年5月期も増収増益となり、業績は堅調だ。ただし、さらなる成長には、パソコンに次ぐ第2、第3の柱が欠かせない。VAIOではEMS事業、そしてVR(仮想現実)などのソリューション事業を強化していく方針を掲げている。
「ロボットの開発依頼は多く、断っている案件もあるほど」と児嶋部長はうれしい悩みを明かす。新サービスでロボット開発を効率化できれば、VAIOの売り上げ増加に貢献しそうだ。日本のロボット業界の成長を加速する可能性も秘めている。
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