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LEVCの工場を歩くボリス・ジョンソン英首相(左)。右がホフマンCEO(写真:WPA Pool / Getty Images)

 中国民営自動車最大手の浙江吉利控股集団の傘下でタクシーを手がける英LEVCは日本市場に本格的に参入する。日本で今年2月から新型EV(電気自動車)「TX」の販売を始める。

 1月10日に東京都港区で開いた会見で、LEVCのヨーグ・ホフマンCEO(最高経営責任者)は「自動車業界は最大の危機を迎え、創造的な破壊が起きている。我々は100%電動車の対応をし、臨んでいきたい」と述べた。

 国内でTXのライバルとなるのが、トヨタ自動車が2017年に販売を始めた「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」だ。従来のようなセダン型ではなく、英ロンドンを走るタクシーのように大きなスライドドアが特徴のHV(ハイブリッド車)。ただ、以前のモデルでは車椅子での乗降に時間がかかるなどの欠点があった。

 LEVCのタクシーはEVで、航続距離を伸ばせる発電用エンジン「レンジエクステンダー」を搭載する。EVであっても、例えば都市部から郊外までの約600キロの距離を充電せずに走ることができる。「レンジエクステンダーを搭載したタクシーはLEVCだけだ」とホフマン氏はトヨタとの違いをアピールする。

 TXは全長485cm、全幅203cm、高さは188cm。全幅は巨大な米国の多目的スポーツ車(SUV)並みでジャパンタクシーよりも30cmほど長い。日本の道路事情では窮屈そうだが、その分「車椅子などがサイドのドアからストレスなく乗降できる」(LEVC)という。

 車両価格は1120万円とジャパンタクシーの2倍以上。「(燃料費の削減により)我々の製品を使ったタクシー会社が週100ポンド(約1万4000円)ほどランニングコストを安くできた事例もあり、維持費を抑えることができる」とホフマン氏は話す。TXは高級ホテルの送迎車などプレミアムクラスでの利用を見込んでいる。

 LEVCの親会社である吉利は1986年に家電の製造会社として設立され、高級車ブランドのボルボ・カー(スウェーデン)やマレーシアのプロトンなど複数の海外ブランドを傘下に収めている。2018年には独ダイムラーに10%を出資するなど、積極的なM&A(合併・買収)で中国以外の市場でも攻勢をかけている。LEVCの前身であるロンドンタクシーカンパニー(LTC)も13年に買収し、17年にEVを強調したLEVCへと社名を変更した。

 LEVCは英国に生産拠点を残し、英国内での販売が約9割を占める。「生産や開発は吉利から独立しているが、吉利とはサプライチェーンや次世代テクノロジーで相乗効果がある」とホフマンCEO。14年には5億ポンドの投資を吉利から受けており、ソフトウエアの面でもシナジーを見込む。今後、LEVCは英国以外への輸出を増やす考えだ。高級路線を前面に打ち出し、トヨタが市場を席巻する日本市場でも一定の存在感を高めたい考えだ。

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