あおぞら銀行が提供しているスマートフォンのアプリを使った個人向け新マネーサービス「BANK」の新規口座開設数が好調に推移している。同行の従来のインターネットサービスに比べ16倍ものスピードで口座獲得数を増やしている。人気の理由は、年0.2%という普通預金としては銀行業界トップの金利水準を設定したことだ。超低金利が続く中、金利に対する利用者の感度の高さを改めて示している。

 同行は2009年、「インターネット支店」を開設し、ネットバンキング業務を始めた。BANKはそれをリニューアルする形で19年7月に始めたサービスだ。口座開設者は、買い物などの支払い時に口座から即引き落とされるデビットカードが付与されるほか、カード利用額の一定割合を自動的に別枠の貯蓄用預金口座に積み立てられる貯蓄機能も使えるなど、独自サービスを提供している。

 とはいえ、人気の秘密はやはり他行を大きく上回る預金金利だ。メガバンクなどを含め一般的な普通預金金利は現在、0.001%。100万円を1年間預けても金利はわずか10円。底辺に張り付く中、BANKが設定している0.2%はその200倍だ。

 当初のネット支店では開始後10年間で獲得した口座数が約5万だったのに対し、BANKはわずか半年間で約4万口座を獲得している。

30~50歳代から多くの口座開設者

 口座の獲得だけではない。同行広報担当者は、こんな手応えを口にする。「(ネット支店を除く)個人の口座開設者の平均年齢は62歳で、これから事業を継続していくうえで高齢化が課題でした。BANKは『メガの200倍の金利!』というふれこみが受け、ターゲットとしていた30~50歳代から口座を多数開設していただきました」。BANKの口座開設者の平均年齢は45歳で、顧客の若返りにつなげている。今後は、BANK口座開設者に対し専用投資信託などの金融商品の販売も検討しているという。

 あおぞら銀行の前身は、バブル崩壊で多額の不良債権を抱えて経営破綻した長期信用銀行の1つ、旧日本債券信用銀行。公的資金注入による一時国有化を経て、01年に現行名で再出発し、事業の選択と集中を断行。住宅ローン、カードローンなどの金融商品の販売はせず、企業向けの事業再生やM&A(合併・買収)などで手数料を得る業務に注力した。金利収入と手数料収入の割合がほぼ半々のビジネスモデルを構築し、15年には公的資金を一括返済している。

 強気の金利を設定できるのは、こうした独自のビジネスモデルに加え、コスト削減を徹底してきたことが背景にある。ATMを自前からゆうちょ銀行に置き換えるなどしてきた。それは経費率(OHR)にも表れている。連結利益に対する経費の割合は50%で、単体は44%(いずれも19年9月中間)。60%前後のメガバンクより大幅に低い。筋肉質な経営基盤の構築によって、絞り出したのが0.2%という金利だった。

業界では手数料引き上げなどの動き

 一方、業界では、超低金利が長期化する中、金利設定や手数料収入体系を変更する金融機関が相次いでいる。三菱UFJ銀行が20年秋にも新規口座分を対象に2年間取引のない口座に対して年1200円の管理手数料を取ることを検討している。こうした動きに他行も追随する可能性がある。しかし、利用者からは「手数料を徴収する前に、コスト削減などまだやれることがあるのではないか。順番が違う」といった批判が根強い。

 金利や手数料への関心も高まる中、各金融機関は適正なバランスの金利・手数料体系をどう設定し、利用者から理解を得るのか、難しいかじ取りを迫られている。

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。

この記事はシリーズ「1分解説」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。