<span class="fontBold">「日経ビジネスLIVE」とは:</span>「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト
「日経ビジネスLIVE」とは:「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 AI(人工知能)やサブスク……。新しい技術や急成長するビジネスが登場するたびに、世間にはバズワードが流布する。だが、持続的に成長していくには、ブレない経営の軸が必要だ。「同時代性の罠(わな)」に惑わされないための、60分の思考訓練。毎回、注目企業をケースに、一橋ビジネススクール教授の楠木建氏と社史研究家・杉浦泰氏が解説する。

 最終回となる第6回のテーマは「スズキ」。織機メーカーから始まり、オートバイ、自動車へと業容を広げ、日本の軽自動車市場をリードしたスズキ。インドでは、日本の自動車メーカーとして初めて進出した先駆者として、約5割と圧倒的なシェアを誇る。小型車では確固たる地位を確立した同社の経営を、過去に遡って分析する。

 今回はウェビナーに先立ち、2001年に日経ビジネスに掲載した「ひと烈伝-鈴木修氏[スズキ会長] 『最大の危機』とモノ作り憂う」を再掲載する。独自の哲学を実践し、小型車作りでは高い評価を得てきた鈴木修氏を紹介している。毎年秋の恒例行事である工場視察では、会長になってからも現場に立って改善点を指摘する姿が描かれている。

■こんな方におすすめ
+仕事の意思決定において、ブレない思考を養いたい方
+スズキの経営に関心のある方
+楠木氏、杉浦氏の著書『逆・タイムマシン経営論』を読んだ方、もしくは興味がある方
+製造業の現場に勤務している方
+企業の歴史、産業の歴史に興味がある方

>>参加を申し込む

■開催概要
テーマ:ケースで学ぶ「逆・タイムマシン経営論」
    スズキはなぜ良品廉価を守り続けられるのか(仮)
開催:2021年6月30日(水) 20:00~21:00
受講料:日経ビジネス電子版の有料会員:無料(事前登録制、先着順)

※有料会員でない方は、まず会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

20:00 オープニング
20:05 スズキの戦略と事業環境の変遷を、創業当時にまで遡りながら分析。「逆・タイムマシン経営論」の視点から、楠木氏、杉浦氏が同社の強さを分析する。
20:45 質疑応答
21:00 クロージング

■講師

楠木建(くすのき・けん)
一橋ビジネススクール教授
1992年、一橋大学大学院商学研究科博士課程修了、一橋大学商学部専任講師、同助教授、同大学イノベーション研究センター助教授、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授を経て、2010年から現職

杉浦泰(すぎうら・ゆたか)
社史研究家兼ウェブプログラマー
1990年生まれ、神戸大学大学院経営学研究科を修了後、みさき投資を経て、現在は社史研究家兼ウェブプログラマーとして活動。社史研究は2011年からスタートし、18年1月から長期視点をビジネスパーソンに広める活動を開始(ウェブサイト「決断社史」)。現在はウェブサイト「The社史」を運営する

■教材
+楠木建・杉浦泰著『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』(日経BP)
逆・タイムマシン経営論 第1章 飛び道具トラップ
逆・タイムマシン経営論 第2章 激動期トラップ
逆・タイムマシン経営論 第3章 遠近歪曲トラップ

■ひと烈伝
鈴木 修氏[スズキ会長]
「最大の危機」とモノ作り憂う

独自のモノ作り哲学を実践し、小型車作りでは高い評価を得てきた。
毎年秋の恒例行事、工場視察では今も現場に立って改善点を指摘する。
「このままでは公的資金の注入が必要」と製造業の空洞化を警告する。

*「日経ビジネス」2001年11月5日号より。固有名詞や肩書、数字などは掲載当時のママ。読みやすさや時代背景を考慮し一部表現を改めた部分があります。

 「下手すりゃスズキがつぶれることだってある」

 10月初旬のある日(掲載当時=2001年)、場所はグランドホテル浜松。スズキの自動車を販売店に卸す代理店経営者が全国から集まって総会が開かれた。その挨拶で、スズキ会長の鈴木修はこんな衝撃的な言葉を発した。

 その場に居合わせた石黒佐喜男(秋田スズキ会長)は、一瞬、自分の耳を疑った。「鈴木自動車工業時代から40年以上総会に出続けてきたが、ここまでの危機感を抱いたのは初めてだ」。

 1909年に初代社長の鈴木道雄が浜松で興した町工場、鈴木式織機製作所は、その後、鈴木自動車工業、スズキと社名を変えつつ、事業領域を拡大、今では連結売上高1兆6000億円の自動車メーカーに成長した。

 軽自動車を中心とする小型車メーカーとして高い競争力を誇ると同時に、インド、ハンガリーなど、海外への展開も進め、浜松の一地方企業から国際企業に脱皮した。

 商品単価が低い軽自動車は、ローコストオペレーションによる生産性の高さが勝負。スズキはトップダウンの徹底した合理化作戦で、他メーカーに圧勝してきた。そのスズキのトップが「つぶれるかもしれない」という危機感を初めてあらわにしたのだ。

 「年々危機感が強くなるね。こんな工場だったのかと。今年なんか特に感じた」

 鈴木がこう話したのは、今年の工場視察が中盤にさしかかった頃だ。鈴木をはじめとする役員、幹部社員が、自社の工場はもちろん、関係の深い部品メーカーの工場を見て回る「工場視察」が始まったのは88年の秋。現在では、毎年の恒例行事となった。

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