潜在力が生きないのは経営の責任

 日本電産セイミツは当社グループに入る前、親会社からデジタルカメラや携帯電話の組み立てまで引き受けていました。しかし、組み立て自体は誰でもできるもの。

 台湾のEMS(電子機器の受託製造サービス)メーカーより強い競争力があるとは思えないから、親会社のデジカメ、携帯事業が傾けばたちまち利益は出なくなります。また、中国に持っているモーター工場も当時は決算上の連結対象でありながら、実態は親会社が直接管理しており、手の出しようがなかったのです。

 これでは利益を出すのは無理でしょう。潜在力があっても生かせない企業の問題の8割は、こんなふうに経営の責任なのです。ムダを追究していくと、大抵、こうした「企業グループの問題」「系列取引の問題」「内製による甘えの問題」などに突き当たるものです。こうした経営の問題を改革するだけでも企業は相当に強くなるはずです。

 ただし、コスト削減の中でやらなければならない課題はもう1つあります。社員の教育です。なぜ、目の前にムダがあっても何も感じないのか。利益を出さないと、自分たちの給料も上がらないのに、なぜそうは思わないのか。

 それはコスト・利益意識を社員が強く持っていないからです。企業が本当に強くなるには第2段階としてこの課題克服が必要です。次回は、コスト削減活動の中で人材価値を上げる方法についてお話しします。

(構成:田村 賢司)

>>参加を申し込む

この記事は会員登録でコメントをご覧いただけます

【春割/2カ月無料】お申し込みで

人気コラム、特集記事…すべて読み放題

ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「ケースで学ぶ「逆・タイムマシン経営論」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。