1年で約200億円のコストを削減

 まずはこれを徹底的に削るのです。例えば、事務用品でも机の中には使わないボールペンやファイル、クリップ、ノートなどがたくさんたまっていませんか。細かいことをと思うかもしれませんが、最初にお話しした日本電産セイミツは、国内の社員が約250人なのに、ファイルは数千冊、ボールペンは何百本と出てきました。

 事務スペースも意味なく広く取っているし、工場には使わない機械がそのまま置いてある。そもそも本社の1階は商談やショールーム、あるいは調達の交渉をするなど、稼ぐ場のはずなのに間接部門が入っていたりする。不要な機械をどければ、ラインは短くて済むし、生産効率も改善できる。オフィスも間を詰めて関係部署を近づければ仕事がしやすくなるのです。

 そのほかの経費にしても、多くの社員は自家用車で通勤するのに電車通勤の交通費を支給し、実際の2倍も払っていたり、海外出張にも多額の支度金を出したりするなど、既得権化したコストもそのままになっていました。

 次はMプロです。これは「購買費削減プロジェクト」のことで、「(部材などの購入先に)まけてもらう」をもじったものです。

 ですが、実際には複数使っていた調達先を絞り込んで購入価格を下げたり、より低い価格の資材を探して調達先を切り替えたりすることです。あるいは、設計や生産方法を見直し、少ない部材で製造できるようにするなど、徹底した調達改革を行うのです。

 これも日本電産セイミツでは、社名変更で取り換えた看板は当初、460万円という見積もりでしたが、Mプロで結局160万円になりました。

 これらの活動の効果は実に大きなものです。2003年10月にM&Aでグループに加えた三協精機製作所(現・日本電産サンキョー)も、この時にコスト構造を大幅に変えて利益を生み出せるようになりました。

 同社の場合は、1.不良品を50ppm(ppmは100万分の1、つまり不良品を2万個に1個以下にすること)、2.(Mプロなどで)材料費を売上高の60%から50%以下に下げる、3.在庫は0.4カ月以下、4.生産性は従業員1人当たり月100万円以上の付加価値高の実現――といった指標も設けて一気にやりました(編集部注:2004年度は前年度に比べ、単独で材料費が195億円、経費が10億円下がり、前期約300億円の最終赤字が一気に151億円の最終黒字に転換した)。

 しかし、コスト削減だけでは限界があります。大事なのはなぜそんなムダが見過ごされたのか原因を見つけ、経営を変えることです。これらの活動のもう1つの意味はそこにあるのです。

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