「日経ビジネスLIVE」とは:
「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 AI(人工知能)やサブスク……。新しい技術や急成長するビジネスが登場するたびに、世間にはバズワードが流布する。だが、持続的に成長していくには、ブレない経営の軸が必要だ。「同時代性の罠(わな)」に惑わされないための、60分の思考訓練。毎回、注目企業のケースについて、一橋ビジネススクール教授の楠木建氏と社史研究家・杉浦泰氏が解説する。

 第5回のテーマは「日本電産」。創業者の永守重信会長が陣頭に立ち、数々の逆境を乗り越えて世界有数のモーターメーカーとなった同社の経営を、過去に遡って分析する。

 今回はウェビナーに先立ち、2012年に日経ビジネスに掲載した「日本電産 永守重信の経営教室」の連載第1回を再掲載する。M&A(合併・買収)と猛烈経営で知られる同社だが、その「ガンバリズム」のイメージとは異なる緻密な永守流の価値創造経営を語っている。

■こんな方におすすめ
+仕事の意思決定において、ブレない思考を養いたい方
+日本電産の経営に関心のある方
+楠木氏、杉浦氏の著書『逆・タイムマシン経営論』を読んだ方、もしくは興味がある方
+製造業の現場に勤務している方
+企業の歴史、産業の歴史に興味がある方

>>参加を申し込む

■開催概要
テーマ:ケースで学ぶ「逆・タイムマシン経営論」
    なぜ、日本電産は逆境さえもバネにできるのか(仮)
開催:2021年5月26日(水) 20:00~21:00
受講料:日経ビジネス電子版の有料会員:無料(事前登録制、先着順)

※有料会員でない方は、まず会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

20:00 オープニング(講師紹介、講座紹介)
20:05 日本電産の戦略と事業環境の変遷を、創業当時にまで遡りながら分析。「逆・タイムマシン経営論」の視点から、楠木氏、杉浦氏が同社の強さを分析する。
20:45 質疑応答
21:00 クロージング

■講師

楠木建(くすのき・けん)
一橋ビジネススクール教授
1992年、一橋大学大学院商学研究科博士課程修了、一橋大学商学部専任講師、同助教授、同大学イノベーション研究センター助教授、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授を経て、2010年から現職

杉浦泰(すぎうら・ゆたか)
社史研究家兼ウェブプログラマー
1990年生まれ、神戸大学大学院経営学研究科を修了後、みさき投資を経て、現在は社史研究家兼ウェブプログラマーとして活動。社史研究は2011年からスタートし、18年1月から長期視点をビジネスパーソンに広める活動を開始(ウェブサイト「決断社史」)。現在はウェブサイト「The社史」を運営する

■教材
+楠木建・杉浦泰著『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』(日経BP)
逆・タイムマシン経営論 第1章 飛び道具トラップ
逆・タイムマシン経営論 第2章 激動期トラップ
逆・タイムマシン経営論 第3章 遠近歪曲トラップ

■経営新潮流
日本電産 永守重信の経営教室 第1回
何としても利益を上げる
コスト削減は価値創造の第一歩

M&A(合併・買収)と猛烈経営で知られる日本電産の永守重信社長。だが、その裏には「ガンバリズム」とは異なる素顔が隠されていた。世界有数のモーターメーカーを育てた“永守流”価値創造経営を語ってもらう。

*「日経ビジネス」2012年1月9日号より。固有名詞や肩書、数字などは掲載当時のママ。読みやすさや時代背景を考慮し一部表現を改めた部分があります。

 徒手空拳で連結売上高6885億円(2011年3月期)のモーターメーカー、日本電産を築き上げた同社社長(CEO=最高経営責任者)、永守重信氏。

 「情熱・熱意・執念」「すぐやる、かならずやる、できるまでやる」「知的ハードワーキング」を自社の3大精神に掲げ、自身も「元日以外休みなし」。徹底したコスト削減とともに、約30社のM&A(合併・買収)を成功させ、会社を成長させてきたことでも知られる。だが、単なる猛烈経営ではない。その裏には「財務価値」→「人材価値」→「顧客にとっての価値」→「市場価値」という価値創造の連鎖で強い競争力を築き上げる緻密な計算が隠されていた。


 企業経営について語る前に、まず1つの事例からお話ししましょう。

 日本電産は三洋電機から三洋精密(日本電産セイミツに社名変更、現・日本電産コパル)というモーターメーカーを譲ってもらい、2011年7月から傘下に収めています。

 この会社はスマートフォンなどの携帯電話用振動モーターで世界シェア30%を持つトップメーカーですが、2011年3月期まで3期連続営業赤字。当社グループ入りする直前の2011年4~6月期も約6億円の営業赤字を垂れ流し、経営は不振を極めていました。

 ところがこの会社がグループ入りしてすぐの7-9月期から黒字(2億5000万円)に転換。今期はマーケットの影響で売上高は減収になりそうですが、過去最高益を狙って挑戦しています。

 何が変わったのでしょう。経営者は生え抜きです。社員もリストラはしていません。市場も変化はありません。それでも会社は変わったのです。

 こう言うと、日本電産を少しでも知っている人の中には「厳しいコストダウンで利益を上げたのだろう」と思う人がいるかもしれません。でも、それは一面でしかありません。コスト削減だけで利益は上げ続けられないし、そんなM&Aを繰り返しても成長を持続することはできないのです。

 企業経営で最も大事なのは、企業の価値を創造し続ける「輪」を作ることではないでしょうか。表から見ると厳しいコスト削減とM&Aばかりが目立つかもしれませんが、実際は違います。私の経営の底流には何があるのか。この連載では、それをお話ししたいと思います。

続きを読む 2/4 利益は「結果」ではない

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