「日経ビジネスLIVE」とは:「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 AI(人工知能)やサブスク……。新しい技術や急成長するビジネスが登場するたびに、世間にはバズワードが流布する。だが、持続的に成長していくには、ブレない経営の軸が必要だ。「同時代性の罠(わな)」に惑わされないための、60分の思考訓練。毎回、注目企業をケースに、一橋ビジネススクール教授の楠木建氏と社史研究家・杉浦泰氏が解説する。

 第5回のテーマは「日本電産」。創業者の永守重信会長CEO(最高経営責任者)が陣頭に立ち、数々の逆境を乗り越えて世界有数のモーターメーカーとなった同社の経営を、過去に遡って分析する。

 今回はウェビナーに先立ち、2003年に日経ビジネスに掲載した永守重信氏の評伝「ひと烈伝」を再掲載する。そこでは、1年365日、1日15時間働く文字通りの超ハードワーカーぶりと、 製品の価格や技術に市場が求める原理を貫徹する姿と同時に、体育会的な言動の裏にある将来への計算と人使いの巧みさが描かれている。

■こんな方におすすめ
+仕事の意思決定において、ブレない思考を養いたい方
+日本電産の経営に関心のある方
+楠木氏、杉浦氏の著書『逆・タイムマシン経営論』を読んだ方、もしくは興味がある方
+企業の歴史、産業の歴史に興味がある方

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■開催概要
テーマ:ケースで学ぶ「逆・タイムマシン経営論」
    なぜ、日本電産は逆境さえもバネにできるのか(仮)
開催:2021年5月26日(水) 20:00~21:00
受講料:日経ビジネス電子版の有料会員:無料(事前登録制、先着順)

※有料会員でない方は、まず会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

20:00 オープニング
20:05 日本電産の戦略と事業環境の変遷を、歴史を遡りながら分析。「逆・タイムマシン経営論」の視点から、楠木氏、杉浦氏が同社の強さを分析する。
20:45 質疑応答
21:00 クロージング

■講師

楠木建(くすのき・けん)
一橋ビジネススクール教授
1992年、一橋大学大学院商学研究科博士課程修了、一橋大学商学部専任講師、同助教授、同大学イノベーション研究センター助教授、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授を経て、2010年から現職

杉浦泰(すぎうら・ゆたか)
社史研究家兼ウェブプログラマー
1990年生まれ、神戸大学大学院経営学研究科を修了後、みさき投資を経て、現在は社史研究家兼ウェブプログラマーとして活動。社史研究は2011年からスタートし、18年1月から長期視点をビジネスパーソンに広める活動を開始(ウェブサイト「決断社史」)。現在はウェブサイト「The社史」を運営する

■教材
+楠木建・杉浦泰著『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』(日経BP)
逆・タイムマシン経営論 第1章 飛び道具トラップ
逆・タイムマシン経営論 第2章 激動期トラップ
逆・タイムマシン経営論 第3章 遠近歪曲トラップ

■ひと烈伝
永守 重信 氏[日本電産社長]
無理を道理に変える“夢想家”

1年365日、1日15時間働く文字通りの超ハードワーカー。
無理を通すのは製品の価格や技術に市場が求める原理を貫徹するため。
体育会的な言動の裏には、将来への計算と人使いの巧みさが隠されている。

*「日経ビジネス」2003年05月12日号より。固有名詞や肩書、数字などは掲載当時のママ。読みやすさや時代背景を考慮し一部表現を改めた部分があります。

永守重信氏(日本電産会長)

 日本電産社長、永守重信の1日は朝から猛烈な勢いで始まる。

 5時50分、京都市内にある自宅2階の寝室で「バチーッと目を覚ます」(永守)や否や、蹴るように布団を飛び出し、同じ階の浴室に突入する。熱々のシャワーを頭から浴びせると即座に寝室との間にある書斎へ。妻の寿美子が先回りして置いておいた地元紙の朝刊に、着替えながら目を通す。この間、わずか10分。

 6時になると、階下の食堂に降り、寿美子が早々に用意した朝食を取りながら、テレビの経済番組を見て、経済紙、専門紙にも目を走らせる。といって、黙々と、などでは決してない。手も口もよく動く。寿美子に口を挟ませないほどしゃべった揚げ句、迎えの車に飛び乗り、6時50分には京都市右京区の本社に着く。一番乗りである。

 寿美子によれば、目覚ましを使ったことは一度もないし、起こしたこともない。文字通り、朝からフル回転で動き出す。出張で家を空ける時以外は、結婚以来三十数年これだ。

 その永守率いる日本電産が今、再び成長軌道に乗り始めている。2003年3月期の連結売上高は2986億円で、同営業利益は228億円。それぞれ前期比で6.3%増、41.1%増で、過去最高益である。さらに、今2004年3月期も同3200億円、280億円で同7.1%、22.5%の増の見通し。連続で最高益を更新しそうなのだ。

 解説は様々にある。2001年度まで5年ほど、営業利益は横這いを続けたが、1995年頃から本格化したM&A(企業の合併・買収)で傘下に収めてきた光学電子機器や自動車部品メーカーなどが利益貢献し始めた。世界市場の60%を握るコンピューター・ハードディスク用のスピンドルモーターで、新製品のFDB(流体動圧軸受け)への投資が一段落。開発費負担が減って利益の回収期に入った…。

 いずれもその通り。だが、日本電産の本質的な強さは、永守の存在そのものであり、永守が主導してきた特異な経営スタイルにある。

1年365日すべて出勤

続きを読む 2/4 洞察力が生む巧みな人使い

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