<span class="fontBold">「日経ビジネスLIVE」とは:</span><br>「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト
「日経ビジネスLIVE」とは:
「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 AI(人工知能)やサブスク……。新しい技術や急成長するビジネスが登場するたびに、世間にはバズワードが流布する。だが、持続的に成長していくには、ブレない経営の軸が必要だ。「同時代性の罠(わな)」に惑わされないための、60分の思考訓練。毎回、注目企業のケースについて、一橋ビジネススクール教授の楠木建氏と社史研究家・杉浦泰氏が解説する。

 第5回のテーマは「日本電産」。創業者の永守重信会長が陣頭に立ち、数々の逆境を乗り越えて世界有数のモーターメーカーとなった同社の経営を、過去に遡って分析する。

 今回はウェビナーに先立ち、1997年に日経ビジネスに登場した、当時社長だった永守重信氏の編集長インタビューを再掲載する。中小型のモーターを中心に業容を広げるため、 優秀な人材や技術を抱えながらムダの多い会社買収し、傘下に収めて以降は自ら毎週通い「意識改革」を指導、業績改善につなげていると語っている。

■こんな方におすすめ
+仕事の意思決定において、ブレない思考を養いたい方
+日本電産の経営に関心のある方
+楠木氏、杉浦氏の著書『逆・タイムマシン経営論』を読んだ方、もしくは興味がある方
+製造業の現場に勤務している方
+企業の歴史、産業の歴史に興味がある方

>>参加を申し込む

■開催概要
テーマ:ケースで学ぶ「逆・タイムマシン経営論」
    なぜ、日本電産は逆境さえもバネにできるのか(仮)
開催:2021年5月26日(水) 20:00~21:00
受講料:日経ビジネス電子版の有料会員:無料(事前登録制、先着順)

※有料会員でない方は、まず会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

20:00 オープニング ※(講師紹介、講座紹介)
20:05 日本電産の戦略と事業環境の変遷を、創業当時にまで遡りながら分析。「逆・タイムマシン経営論」の視点から、楠木氏、杉浦氏が同社の強さを分析する。
20:45 質疑応答
21:00 クロージング

■講師

楠木建(くすのき・けん)
一橋ビジネススクール教授
1992年、一橋大学大学院商学研究科博士課程修了、一橋大学商学部専任講師、同助教授、同大学イノベーション研究センター助教授、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授を経て、2010年から現職

杉浦泰(すぎうら・ゆたか)
社史研究家兼ウェブプログラマー
1990年生まれ、神戸大学大学院経営学研究科を修了後、みさき投資を経て、現在は社史研究家兼ウェブプログラマーとして活動。社史研究は2011年からスタートし、18年1月から長期視点をビジネスパーソンに広める活動を開始(ウェブサイト「決断社史」)。現在はウェブサイト「The社史」を運営する

■教材
+楠木建・杉浦泰著『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』(日経BP)
逆・タイムマシン経営論 第1章 飛び道具トラップ
逆・タイムマシン経営論 第2章 激動期トラップ
逆・タイムマシン経営論 第3章 遠近歪曲トラップ

■編集長インタビュー
永守 重信氏(日本電産社長)
「企業買収で技術と歴史を得る」
ムダの多い会社ほど「買い得」

中小型のモーターを中心に業容を広げるため、企業買収を進める。 良い人材や技術を持ちながらムダの多い会社が狙い目とか。買った会社に毎週通い「意識改革」を指導、業績改善につなげている。「大企業の系列に欲しい会社が多い」と今後も年2件程度の買収を検討。(聞き手は日経ビジネス編集長=当時 平田 育夫)

*「日経ビジネス」1997年11月14日号より。固有名詞や肩書、数字などは掲載当時のママ。読みやすさや時代背景を考慮し一部表現を改めた部分があります。

会社を買うときの基準は3つ

[画像のクリックで拡大表示]

ハードディスク駆動装置(HDD)用の小型モーターを中心に日本電産の業績は順調ですが、その一方で、資本参加による実質的な企業買収を年に2〜3件のペースで進めていますね。狙いは何ですか。

永守重信氏(以下、永守):自動車や家電関係のモーターなど新しい分野に出たり、今やっている分野を掘り下げたりしたいのですが、自社でやるには限界があるんです。人材や技術が十分ではないし、歴史や実績もありません。商品を買ってもらおうとしても「お宅、実績がないじゃないか」と言われてしまうんです。

 今年、例えば日産自動車系列の部品メーカーであるトーソクに資本参加したのですが、この会社は50年近い歴史があります。ですからお客さんからは「あんた今度、トーソクの親会社になったんか。日産の親戚やな。それならうちも(商品を)入れたる」と、こうなるんですわ。米国なら商品が良ければ買ってもらえますが、日本だとそうはいかない。ですから企業買収によって歴史や信用を買うわけです。

この会社を買う、と決断するときの基準は何ですか。

永守:清潔さとか整理・整頓、しつけなど。それに代表的な仕入れ品のコストがどうか。3番目は従業員の勤務態度。だいたい、この3点ですね。

不潔で整理が行き届かず、社員が働かないような会社は買わないと?

永守:いや、そういう会社を選んで買うんです。もちろん、優れた人材がおり、良い技術、良い市場を持っていることが前提です。良いものを持っているのに赤字を出しているような会社はたいてい、みんなが働かなかったり、コストの高いものを買ったりしています。そういう会社はきちんとすれば、すぐに利益を出せるんです。

ムダや非効率もまた経営資源というわけですか。

永守:そう、資源です。ゴミためのように汚い工場の中で茶髪の社員がたばこをスパスパ、というような会社がいいですな。または日本電産より3割も高いコピー用紙を買っているとか、経営者が週に2回、平日にゴルフに行っている。それで収支はトントン。そんな会社を買収したら、ものすごくもうかりますよ。反対にムダがなくて、みんながよく働いているのに赤字だという会社は再建の見通しが暗いですね。

そうは言っても、ムダが多かったり社員が働かなかったりという会社にはそれなりの原因があるわけで、それを直すのは大変でしょう。

永守:そういう会社は経営者や社員の意識に問題があるんです。例えばの話、休憩時間の終わりにチャイムが2回鳴っても、初めの予鈴で職場につく人がいない。これで仕事を始めるのが5分は遅れるわけです。休憩時間が日に3回あれば合計15分です。この差なんですよ、企業の競争力の差は。

 大企業の子会社の場合は、だれもが「つぶれる」と思っていないこともあるでしょう。僕は買収した会社の人によく「この会社がつぶれると思ったか」と聞くんです。全員が「思ったことはない」と答えますよ。

 そういう社員の意識を変えるために私が、買収した会社の会長として週に1回、出向いて指導しています。もちろん無給です。弁当と水筒を持って文字通り手弁当でやっています。

工場の掃除をしたら過去最高益に

続きを読む 2/3 技術の橋を架けられる企業を狙う

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