「日経ビジネスLIVE」とは:
「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 AIやサブスク……。新しい技術や急成長するビジネスが登場するたびに、世間にはバズワードが流布する。だが、持続的に成長していくには、ブレない経営の軸が必要だ。「同時代性の罠(わな)」に惑わされないための、60分の思考訓練。毎回、注目企業をケースに、一橋ビジネススクール教授の楠木建氏と社史研究家・杉浦泰氏が解説する。

 第4回のテーマは「ヤマト運輸」。宅配便市場を切り開き、物流のイノベーターとして新しい生活スタイルを生み出してきた同社の経営を、過去に遡って分析する。

 今回はウェビナーに先立ち、1997年に日経ビジネスに掲載したヤマト運輸のケーススタディーを再掲載する。荷動きが少なく、他社が敬遠してきた中小企業向けの物流サービスにあえて進出。宅急便事業で蓄えた顧客情報も活用して、現場主義でサービス内容を充実させながら事業を育てるという同社の強みが端的に描かれている。

■こんな方におすすめ
+仕事の意思決定において、ブレない思考を養いたい方
+ヤマト運輸の経営に関心のある方
+楠木氏、杉浦氏の著書『逆・タイムマシン経営論』を読んだ方、もしくは興味がある方
+日ごろから、宅配便を利用している方
+企業の歴史、産業の歴史に興味がある方

>>参加を申し込む

■開催概要
テーマ:ケースで学ぶ「逆・タイムマシン経営論」
    ヤマト運輸 物流イノベーター、経営の要諦(仮)
開催:2021年4月27日(火) 20:00~21:00
受講料:日経ビジネス電子版の有料会員:無料(事前登録制、先着順)

※有料会員でない方は、まず会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

20:00 オープニング
20:05 ヤマト運輸の戦略と事業環境の変遷を、宅配便のサービススタート時にまで遡りながら分析。「逆・タイムマシン経営論」の視点から、楠木氏、杉浦氏が同社の強さを分析する。
20:45 質疑応答
21:00 クロージング

■講師

楠木建(くすのき・けん)
一橋ビジネススクール教授
1992年、一橋大学大学院商学研究科博士課程修了、一橋大学商学部専任講師、同助教授、同大学イノベーション研究センター助教授、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授を経て、2010年から現職

杉浦泰(すぎうら・ゆたか)
社史研究家兼ウェブプログラマー
1990年生まれ、神戸大学大学院経営学研究科を修了後、みさき投資を経て、現在は社史研究家兼ウェブプログラマーとして活動。社史研究は2011年からスタートし、18年1月から長期視点をビジネスパーソンに広める活動を開始(ウェブサイト「決断社史」)。現在はウェブサイト「The社史」を運営する

■教材
+楠木建・杉浦泰著『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』(日経BP)
逆・タイムマシン経営論 第1章 飛び道具トラップ
逆・タイムマシン経営論 第2章 激動期トラップ
逆・タイムマシン経営論 第3章 遠近歪曲トラップ

■ケーススタディー
ヤマト運輸、中小企業に的
「物流合理化 請け負います」
宅急便の枠超え新サービス

中小企業向けの物流サービスに進出した。荷動きが少なく、他社が敬遠してきた市場に着目。宅急便事業で蓄えた顧客情報も活用、取扱量拡大を目指す。現場で試行錯誤を重ねながら、サービス内容を充実して事業を育てる。(桑田富美)

*「日経ビジネス」1997年4月7日号より。固有名詞や肩書、数字などは掲載当時のママ。読みやすさや時代背景を考慮し一部表現を改めた部分があります。

宅急便の枠超え新サービス

コロナ禍で、社会的なインフラとしての存在感は改めて増した(写真:アフロ)

 ヤマト運輸は今(編集部注:記事掲載の1997年4月時点)、中小企業の物流支援という、ロジスティクス(物流)分野の中でも新しい事業の確立を目指している。

 これまでヤマトは、個人市場をにらんだサービスを開発してきた。22年前に運送業界に新風を吹き込んだ「宅急便」をはじめ、ゴルフバッグやスキーの配送便、鮮度管理をした食品を運ぶクール便などは、基本的に家庭から家庭へと荷物を届けるサービスだ。

 それが今度は、個人向けビジネスの殻を破って、事業者向けの配送に本格的に進出したわけだ。中小企業の荷物の配達から在庫管理まで手掛ける考えで、企業経営は新しい段階に入った。

 小倉昌男・前会長(現ヤマト福祉財団理事長)のリーダーシップのもとで、規制の壁を崩しながら全国に配送網を広げてきた宅急便は、今では郵便小包を脅かすほどの強力なサービスに育った。1991年に郵便に匹敵する規模の配送網を完成し、自社で配達できないのは現在、東京都の小笠原村だけ。日本全土の99.982%をカバーしている。全国で2万5000台のヤマトのトラックが、日々走り回っている。

 宅急便は取扱個数が現在、年間約6億4600万個に上り、売上高の83%を占める。年間約4億個の郵便小包に比べ、数量は5割以上も上回っている。

 だが、配送網が完成してから、宅急便事業の売り上げは伸び悩みの傾向にある。80年代は前半が年率で3~4割伸びていたが、後半に入ると1~2割に低下。90年代はひと桁の成長にとどまっている。従業員数も6万人を数える大組織になり、今後も収益を伸ばしていくには、既存の配送ネットワークを活用すると同時に、さらに多くの品物を運ぶことが課題になっている。

 そこで目をつけたのが、事業所の荷物だ。小倉前会長も以前から、「一軒一軒の家庭の荷物をこまめに扱えるようになれば、企業の荷物を扱うのはやさしい」と語っていた。

 その際に、あくまで「中小」企業に着目した点に、ヤマトならではの戦略がある。

続きを読む 2/4 各社の物流業務をまとめ規模の利

この記事は会員登録でコメントをご覧いただけます

残り6145文字 / 全文6216文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「ケースで学ぶ「逆・タイムマシン経営論」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。