<span class="fontBold">「日経ビジネスLIVE」とは:</span><br>「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト
「日経ビジネスLIVE」とは:
「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 AIやサブスク……。新しい技術や急成長するビジネスが登場するたびに、世間にはバズワードが流布する。だが、持続的に成長していくには、ブレない経営の軸が必要だ。「同時代性の罠(わな)」に惑わされないための、60分の思考訓練。毎回、注目企業をケースに、一橋ビジネススクール教授の楠木建氏と社史研究家・杉浦泰氏が解説する。

 第3回のテーマは「セブンイレブン」。コンビニの“王者”として新しい消費スタイルを切り開いてきた同社の経営を、過去に遡って分析する。

※第1回「ユニクロ 強さの源流」をアーカイブ配信しています→ユニクロの強さは「ぶれなさ」にある、楠木建教授が深掘り解説

■こんな方におすすめ
+仕事の意思決定において、ブレない思考を養いたい方
+セブンイレブンやコンビニエンスストアの経営に関心のある方
+楠木氏、杉浦氏の著書『逆・タイムマシン経営論』を読んだ方、もしくは興味がある方
+コンビニの商品が好きな方
+企業の歴史、産業の歴史に興味がある方

>>参加を申し込む

■開催概要
テーマ:ケースで学ぶ「逆・タイムマシン経営論」
     セブンイレブンはどうして「コンビニの王者」になれたのか
開催:2021年3月24日(水) 20:00~21:00
受講料:日経ビジネス電子版の有料会員:無料(事前登録制、先着順)

※有料会員でない方は、まず会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

20:00 オープニング ※(講師紹介、講座紹介)
20:05 セブンイレブンの戦略と事業環境の変遷を、過去に遡りながら分析。「逆・タイムマシン経営論」の視点から、楠木氏、杉浦氏が同社の強さを分析する。
20:45 質疑応答
21:00 クロージング

■講師

楠木建(くすのき・けん)
一橋ビジネススクール教授
1992年、一橋大学大学院商学研究科博士課程修了、一橋大学商学部専任講師、同助教授、同大学イノベーション研究センター助教授、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授を経て、2010年から現職

杉浦泰(すぎうら・ゆたか)
社史研究家兼ウェブプログラマー
1990年生まれ、神戸大学大学院経営学研究科を修了後、みさき投資を経て、現在は社史研究家兼ウェブプログラマーとして活動。社史研究は2011年からスタートし、18年1月から長期視点をビジネスパーソンに広める活動を開始(ウェブサイト「決断社史」)。現在はウェブサイト「The社史」を運営する

■教材
+楠木建・杉浦泰著『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』(日経BP)
逆・タイムマシン経営論 第1章 飛び道具トラップ
逆・タイムマシン経営論 第2章 激動期トラップ
逆・タイムマシン経営論 第3章 遠近歪曲トラップ

 私たちの日々の生活に欠くことのできない存在となったコンビニエンスストア。その革新のフロントランナーとして「コンビニの王者」となったのがセブン-イレブン・ジャパンだ。

 セブンイレブンの第1号店が誕生したのが1974年。そこから、コンビニは日本の消費生活を大きく変えてきた。現在ではセブンイレブンのほかローソンやファミリーマートなども合わせると、国内にコンビニ店舗は5万5000店以上もある。既に “飽和状態”ともいわれるほど普及している。

 セブンイレブンが構築したコンビニのビジネスモデルは、昨今ではコロナ禍による消費減退や、人手不足などにより24時間営業の見直しを求める声が加盟店から強まったことなどから、曲がり角にきている。だが、コンビニという全く新しい業態が社会インフラとして認知されるほど広がってきた過程には、今も学ぶべきところが多い。

 近過去に遡り、バズワードなど同時代性の罠(わな)に惑わされないための思考の軸を磨く日経ビジネスLIVEのシリーズ「ケースで学ぶ『逆・タイムマシン経営論』」。第3回はセブンイレブンを取り上げる。まずは、簡単にセブンイレブンの歴史を振り返っておこう。

[画像のクリックで拡大表示]

 大手スーパーのイトーヨーカ堂が米サウスランド(現セブン-イレブン・インク)と提携し、日本で「セブンイレブン」ブランドのコンビニ1号店を東京・江東の豊洲に出店したのが1974年だ。

セブンイレブンの第1号店(東京・江東の豊洲店)
セブンイレブンの第1号店(東京・江東の豊洲店)

 イトーヨーカ堂のコンビニ事業参入をリポートする日経ビジネス1974年7月22日号の記事は、こんな書き出しで始まる。

 高収益スーパー、イトーヨーカ堂が、“便利さを売る店”コンビニエンス・ストアの展開に乗り出した。堅実経営で知られる同社がわが国で未開拓のこの分野に一気に進出を決めたのは、コンビニエンス・ストアの将来に並々ならぬ可能性をみてとったからにほかならない。(日経ビジネス1974年7月22日号「わが社の戦略前線 イトーヨーカ堂のコンビニエンス展開『米国式ノウハウ武器に中小商店を革新、系列化』」)

 このコンビニ参入を主導したのが、セブンイレブン、そしてイトーヨーカ堂を含むセブン&アイ・ホールディングスの経営を長期にわたって指揮した鈴木敏文氏(現セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問)である。イトーヨーカ堂の創業者である伊藤雅俊氏の反対を押し切っての決断だった。

セブンイレブンを立ち上げた鈴木敏文氏(写真:竹井俊晴)
セブンイレブンを立ち上げた鈴木敏文氏(写真:竹井俊晴)

 イトーヨーカ堂がコンビニ事業に参入した当時は、大型店と小型店の軋轢(あつれき)が社会問題となっていた。第1号店が誕生した1974年には大型店を規制する大規模小売店舗法(旧大店法)が施行されている。そのような状況の中で、イトーヨーカ堂が小型店であるコンビニ事業にどのように参入したのか。そのカギが、フランチャイズチェーン(FC)形式だった。「大型店と小型店の共存共栄」を旗印にしたのである。

 また、FC形式にはもう1つの狙いがあった。イトーヨーカ堂は当時、年間10店舗程度のペースで新規店舗を開いており、コンビニ事業に投じることができる資金は限られていた。しかも、オーナーである伊藤氏は堅実経営で知られ、そもそもコンビニ事業の展開には否定的。鈴木氏は伊藤氏に資金面で過度に頼ることはできなかった。

 それが、結果的にセブンイレブンの強さとなっていく。「持たざる経営」が磨かれていったのだ。

 当時、銀行から借り入れた資金で不動産を取得して出店するスーパーや百貨店が多い中で、イトーヨーカ堂はリース方式で初期費用を抑えて高収益体質を築いていた。この持たざる経営をさらに進化させたのがセブンイレブンだった。

 鈴木氏は当初からFC形式でコンビニを展開。さらに、商品開発や在庫管理、物流などでも外部の経営資源を積極的に活用した。特に、商品開発では食品メーカーや商社といった協力会社が技術やノウハウを持ち寄る「チームMD(マーチャンダイジング)」という手法を確立。それが、ライバルを寄せ付けない商品開発力へとつながっていった。

続きを読む 2/2 消費者ニーズに応えるサービスを生み出した「変化対応力」

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