「日経ビジネスLIVE」とは:
「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 一橋ビジネススクール教授の楠木建氏と社史研究家・杉浦泰氏とともに、“近過去”に遡ってブレない意思決定の視座を養うウェビナーシリーズ「ケースで学ぶ『逆・タイムマシン経営論』」。第2回「任天堂 元祖“プラットフォーマー”の奥義」を2月24日(水)午後8時に開催するにあたり、日経ビジネスに掲載した一押しの過去記事を再掲載する。

 今回は、2007年12月17日号の特集「任天堂はなぜ強い 『たかが娯楽』の産業創出力」に収録した故・岩田聡社長(当時)の編集長インタビューを再掲載する。岩田氏は2002年、創業家3代目社長の故・山内溥氏に指名されて42歳の若さで社長に就任。「ニンテンドーDS」や「Wii」をヒットさせて2009年3月期には当時の過去最高益を記録。だが、その後はスマートフォンなどに押され、2014年3月期まで3期連続の赤字を経験するなど苦しんだ。

 そして、スマホ向けゲームや次世代機を開発し、これから復活を目指そうというさなかの2015年7月、病のためこの世を去った。

 本インタビューは、「Wii」を発売した約1年後に掲載したもの。任天堂の経営哲学が岩田氏に引き継がれていたことがよく分かる。

■こんな方におすすめ
+仕事の意思決定において、ブレない思考を養いたい方
+任天堂の経営に関心のある方
+楠木氏、杉浦氏の著書『逆・タイムマシン経営論』を読んだ方、もしくは興味がある方
+任天堂の商品で遊んでいる方、遊んだことのある方
+企業の歴史、産業の歴史に興味がある方

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■開催概要
テーマ:ケースで学ぶ「逆・タイムマシン経営論」
    任天堂 元祖“プラットフォーマー”の奥義
開催:2021年2月24日(水) 20:00~21:00
受講料:日経ビジネス電子版の有料会員:無料(事前登録制、先着順)

※有料会員でない方は、まず会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

20:00 オープニング
20:05 任天堂の戦略と事業環境の変遷を、「ファミリーコンピュータ」の発売時にまで遡りながら分析。「逆・タイムマシン経営論」の視点から、楠木氏、杉浦氏が同社の強さを分析する。
20:45 質疑応答
21:00 クロージング

■講師

楠木建(くすのき・けん)
一橋ビジネススクール教授
1992年、一橋大学大学院商学研究科博士課程修了、一橋大学商学部専任講師、同助教授、同大学イノベーション研究センター助教授、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授を経て、2010年から現職

杉浦泰(すぎうら・ゆたか)
社史研究家兼ウェブプログラマー
1990年生まれ、神戸大学大学院経営学研究科を修了後、みさき投資を経て、現在は社史研究家兼ウェブプログラマーとして活動。社史研究は2011年からスタートし、18年1月から長期視点をビジネスパーソンに広める活動を開始(ウェブサイト「決断社史」)。現在はウェブサイト「The社史」を運営する

■教材
+楠木建・杉浦泰著『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』(日経BP)

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■特集
任天堂はなぜ強い 「たかが娯楽」の産業創出力
岩田聡氏[任天堂社長]

いつまでも尖り続ける

DS、Wiiの大ヒットでゲームの枠を超えた社会現象を作り出す。「みんなにゲームに触れてもらいたい」という思いを全社で共有。 社長が描く「笑顔創造産業」の未来とは。(聞き手は日経ビジネス編集長=当時 佐藤吉哉)

※「日経ビジネス」2007年12月17日号より。固有名詞や肩書、数字などは掲載当時のママ。読みやすさや時代背景を考慮し一部表現を改めた部分があります。

任天堂の故・岩田聡社長(写真:山田哲也)

:携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」が大ヒットし、昨年末に発売した据え置き型の「Wii(ウィー)」の売れ行きも好調です。予想通りの展開ですか。

:ゲーム人口の拡大を目指したチャレンジを始めて、それには意義があるはずだと思っていました。ただ、どれぐらいのスピードでDSやWiiが普及するのかは実際にやってみないと分からない。「前から分かっていた」と言えたら格好いいんですけど。

 結果として、DSが3年もたたないうちに国内で2000万台売れたことで、「ああ、物事が変わる時は一気に変わるんだな」と実感した次第です。

:DSやWiiのヒットで、ゲームを起点としたコミュニケーションの力が再認識されつつあります。

:「脳トレ(脳を鍛える大人のDSトレーニング)」の監修者である東北大学(加齢医学研究所)の川島隆太先生も、ゲーム機が世代間のコミュニケーションをつくり出す力に一番驚いたとおっしゃっていました。世代が違えば価値観も興味も違うので、話題がない。そんなところに共通の話題である脳トレができて、世代を超えた会話を生み出す力のすごさを見たというのです。

:Wiiでも、家族そろって「Wii Sports」のテニスをするなど新しいコミュニケーションが生まれている。

:「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」の時代も、実は1人でゲームをしているわけではなかった。周りには常にギャラリーがいて、失敗すると「次は僕」とコントローラーを取り合っていました。

 あれがビデオゲームの最も幸せな時代だったとすると、ゲームが難しくなり、コントローラーを渡すとみんなが尻込みしてしまうような状況は進歩ではなく、むしろ後退。「何が失われていて、なぜみんながゲームに触らないのか」という禅問答のような議論を宮本(茂専務)とすごくしました。その結果をDSやWiiに反映できたという手応えはあります。

仮説の実証で社員を鼓舞

:実現したい何かが先にあって、その道具としてDSやWiiなどの機器を作っていったということですか。

:2つの取り組みをしました。まずゲーム機に触ることを阻害している要因を取り除く。例えば、近ごろのゲームはコントローラーが複雑です。レバーが何本も立っていて、ボタンがいっぱいある。これを差し出すと後ずさりされる。そこで、怖がられないコントローラーとは何かを議論し、最終的にDSのタッチペンやWiiの振るリモコンに行き着いたんです。

 もう1つは、ビデオゲームの扱うテーマを、多くの人に興味を持ってもらえる内容にすること。ゲームは時間の無駄と考える人に、「こういう中身ならどうですか」と、テーマの探し方が変わっていった。それが脳を鍛えるソフトだったり、テレビの前でリモコンを振る遊びになったりしたんです。

:もともと関心の高い人に合わせたゲームはヒットするけれど、いずれ飽きられる。これに対して「生活に溶け込む」ゲームなら、長く使い続けてもらえる。ただ、企業としての意思統一は大変そうですね。

:その議論は、「ゲームとは何か」という枠組みや定義にかかわってきます。宮本はその“基本文法”を決めた1人と言っていいですが、彼自身がまず、それを破っていった。「例えば、女性やシニアを対象とした広げ方もできる。それもゲームということにしていいんじゃないか」と。

 そのようなゲームが1つじゃなくて2~3個実証された時に、全員がその未来を信じられるようになる。社長が号令を出したら、突然、全員が違う未来を信じて走り出すなんて、都合のいい話はありません。いくつかの商品を見て初めて、社員たちがその意味を理解し、本気で走り出した。これが実際のプロセスです。

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続きを読む 2/3 任天堂は「笑顔創造産業」

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